絶滅の恐れがある大型のサメ「シロワニ」の保全を目的とした調査・研究を進めるため、北海道大の研究者や水族館関係者らがクラウドファンディング(CF)を始めた。謎に包まれたシロワニの生態を解明し、個体数の把握などにつなげたいという。

 シロワニは成長すると全長が3メートルほどになる大型のサメ。太平洋やインド洋、大西洋などに分布するが、国内では現在、小笠原諸島でしか生息が確認されていない。

 胎生のサメで、子どもはメスの子宮の中で育つ。メスは1回に2匹の子どもを出産する。

 鋭い歯を持つ恐ろしい顔つきのサメだが、積極的に人を襲うことはないという。

 捕獲されたり、漁網にからまって混獲されたりして個体数が減少。海外では、観賞用に人気があるあごの骨や歯などを採取するために殺されることもあるという。

 国際自然保護連合(IUCN)はレッドリストで、絶滅危惧種の中でも最も危険度が高い「深刻な危機」(CR)というカテゴリーに分類している。

 CFを始めたのは、「サメ博士」として世界的に有名な北海道大学名誉教授の仲谷一宏さん、マリンワールド海の中道(福岡市)館長の中村雅之さんらでつくるNPO法人「小笠原シロワニ保全研究会」。研究者のほか、国内各地の水族館関係者、小笠原のダイビング事業者らが加わっている。

 北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの教員や大学院生らが、調査データの分析や論文化などの作業を担当する。

 現地調査では、水中写真のデータを集めて個体識別を進めたり、発信器をつけて移動経路を探ったりする計画だ。

 CFによって、調査のための船のチャーター代や観測機器の代金などをまかないたいという。

 仲谷さんは「まずは、正確な個体数の把握をめざす。調査を通じてシロワニたちの詳しい生態を解明し、保護のために役立てたい」と話す。

 シロワニ調査のためのCF(https://readyfor.jp/projects/shirowani)は、12月27日午後11時までの予定。

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