海岸に漂着した大量のプラスチックごみ=富山県射水市で2021年7月27日午後5時42分、砂押健太撮影

 プラスチック汚染根絶のための条約策定を目指す政府間交渉委員会の最終会合で、交渉委のルイス・バジャス議長(エクアドル)は29日、条約の草案を示した。生産段階を対象にした「上流規制」に関しては、プラ素材生産量の削減目標を第1回締約国会議で決める案と、「条文を設けない」という案が併記された。

 最終会合は25日、韓国・釜山で開幕。バジャス議長が10月末に各国政府に提示した条文の素案などをもとに厳しい交渉が続いている。

 新たな草案では、条約の目的を「人間の健康と環境を守るために海洋環境を含むプラ汚染を終わらせる」とした。プラスチックの環境への流出防止策については、10月の議長素案では、締約国に義務付けるとしていたが、これまでの議論を経て、努力義務にする選択肢が追加された。

 また、廃棄物の管理について、製造者が製品使用後の廃棄やリサイクル段階まで責任を負う「拡大生産者責任」の考え方を導入して対策を進める条文案も盛り込まれた。

 各国間で意見の隔たりが最も大きいのが上流規制だ。29日の草案では、プラ製品を減らすための法制度といった、何らかの対策実施などを締約国に義務付ける案のほか、プラ製品の生産や輸出入を禁止するという選択肢も入った。

 規制の対象とするプラ製品の条件として、環境中に流出する可能性が高い▽人体や環境に対して影響が懸念される化学物質を含んでいる――など5項目が挙げられた。ただし、上流規制を巡っては合意に至っている項目はなく、12月1日の会期末まで交渉は難航が予想される。【釜山・大野友嘉子】

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