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<シニアの年齢に近づくにつれ、食の嗜好が少しずつ変化している...。健康と若さを保つには? 読者から寄せられた食の疑問や悩みに、長年高齢者医療に携わる精神科医の和田秀樹医師に回答してもらった>
健康で若々しくいられるために、病気予防や運動以上に気になるのが日々の食生活。脳の老化を防ぐのに最適な食べ方は? 骨や筋肉を若く保つ食材って? 体重が、血糖値が気になる場合の食事法は?
長年高齢者医療に携わる精神科医の和田秀樹医師に、読者から寄せられた質問に答えてもらった。
質問
シニアの年齢に近づくにつれ、食の嗜好が少しずつ変化しているようです。一度に食べられる量も減りつつあります。視力や関節など体のあちこちに老化めいた小さな悩みも抱えるようになってきました。
シニア期に向けて健康を保つために有益な食べ物や、食べ方で気を付ける点などがあれば教えてください。
──58歳男性(福祉相談事業、東京都)和田秀樹医師の回答
私自身も経験していることですが、シニア年齢に近づいたり、シニア年齢になってしまうと食べられる量が減ってきたり、脂っこいものが苦手になってきます。視力や関節にも影響が出てくることがあります。
実は年を取るほど栄養不足の害が大きくなり、例えばタンパク質が足りないと肌のしわが目立つようになったり筋肉が落ちます。亜鉛が足りないと味覚障害になったり、ED(勃起障害)になったりします。こういうことは若い頃にはあまり起こりません。
ということで、有益だといわれるものばかり食べるような栄養の偏りは避けたほうがよく、可能なら1日30品目を目標に雑食を心がけたほうが好ましいです。そういう点では外食やコンビニ弁当など品目の多いものを取ったほうが賢明です。
また、食が細くなることでの栄養不足を避けるためには、ベジファーストといわれるような野菜を先に食べる食べ方も好ましいとは言えません。野菜でおなかがいっぱいになると、肝心のタンパク質や十分なカロリーが取れない恐れがあるからです。
若い頃(40代くらいまで)と違って、栄養は十分取ったほうがいいので、先に肉やおかずから食べるようにするといいでしょう。年に合わせて健康常識や栄養常識を変えていくことが必要です。
──和田秀樹(精神科医)
和田秀樹
HIDEKI WADA
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)非常勤講師、立命館大学生命科学部特任教授。主な著書に『80歳の壁』『「70歳の壁」を乗り越える老けない食べ方』などがある。
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