トヨフジ海運は内航船でメタノールを主燃料とした船を導入する

トヨタ自動車の子会社のトヨフジ海運(愛知県東海市)は18日、メタノールを主燃料に使う自動車運搬船2隻を2027年度に導入すると発表した。積載量も増やし、車1台当たりの輸送に伴う二酸化炭素(CO2)排出を約2割減らせる。トヨタは車の製造から物流に至るまでの脱炭素化に取り組んでいる。トヨフジ海運も歩調を合わせて切り替えを進める。

このほど三菱重工業子会社の三菱造船(横浜市)と建造契約を結んだ。トヨフジ海運はトヨタグループの海運会社で、大手海運とともにトヨタ車の海上輸送の中核を担う。総合物流のフジトランスコーポレーション(名古屋市)も出資する。

今回導入するメタノール船は国内の港を往来する内航船として運用する。メタノールは重油に比べてCO2排出量を1割削減できる。新たに導入する船は一度に2300台を運べるサイズで、従来よりも積載量が1割増える。

輸送量の増加と燃料の切り替えで車1台当たりのCO2排出量を20%減らせる見込みだ。トヨフジ海運は内航船6隻を保有する。今回導入する船は従来の船と入れ替えるため内航船の総数は変わらない予定だ。

多くの製造業は脱炭素化にあたって、供給網全体の排出量である「スコープ3」の削減が重要になっている。トヨタも車の生産や物流といったライフサイクルで排出する1台当たりのCO2を、30年に19年比で30%削減する目標を掲げている。

供給網全体での脱炭素を見据え、海運業界では液化天然ガス(LNG)やメタノールの活用を進める動きが目立つ。

デンマークの海運大手でコンテナ船世界2位のAPモラー・マースクは昨年末に横浜市や三菱ガス化学と、製造過程で二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにできる「グリーンメタノール」の供給拠点を横浜港に整備するための覚書を締結した。

メタノール船はLNG船よりもCO2の削減率は少ないが、LNG船は燃料タンク容量などの設備が大きくなる。トヨフジ海運は小さい港に停泊する必要のある国内輸送では、メタノールを活用する。将来的にはグリーンメタノールの利用も視野に入れる。

トヨフジ海運が内航船で運ぶ車は1年でおよそ150万台。長距離を運ぶ海外航路を運航する外航船ではLNG船の採用を進めており、まずは25年に2隻を導入する予定だ。

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