▼畜産由来の温暖化ガス 国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の温暖化ガス(GHG)の総排出量のうち、畜産分野は14.5%を占める。とりわけ牛は大量の餌や水が必要なほか、ゲップやおならにメタンが多く含まれGHGの排出量が多い。家畜別のメタンの排出割合で牛は7割超を占める。

国連環境計画(UNEP)は植物性食品の活用や代替肉への切り替えなどを提言するが、一気にカジを切るのは難しい。そこで畜産の環境負荷を低減させる技術に注目が集まっている。代表的な手法として飼料や栄養管理上の工夫が挙げられる。アミノ酸バランスを改善する飼料、牛の餌に混ぜるとゲップ由来のメタンを抑える海藻などがある。

FAOはこうした家畜の健康改善を通じたGHGの削減について、効果を検証する標準的な手法が確立していないため、データ収集などのシステムを構築する必要があると報告書で指摘している。今後は排出への規制も強まりそうで、畜産が主要産業のニュージーランドは牛のゲップなど農業の温暖化ガスの排出に課税する方針を打ち出している。

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