さらば、退屈な社内研修―。大阪市のコンサルタント会社「フィラメント」が、新規事業の創出を学べるボードゲームを開発した。若手社員らにビジネスを生み出すコツをつかんでもらうことを意識し、代表取締役CEOの角勝さん(51)は「楽しみながら研修や育成ができる。モチベーションも上がるはず」と語る。(共同通信=武田惇志)
「国の補助金で開発が加速した!」「もう、この事業からは撤退します…」。今年2月、同社が人材育成を請け負う常石グループ(広島県福山市)と実施した試行では、若手社員らが夢中になってテーブルを囲んだ。
ゲーム「Biz Builder(ビズビルダー)」は4~5人用。プレーヤーは新規事業の担当者となり、ライバル会社役のプレーヤーたちと競い合いながら事業の成功を目指す。最初に目標金額に達したプレーヤーの勝利だ。
主なカードは「リサーチ」と「アセット」の2種類。リサーチは「AI活用で開発力強化」など、社外技術を取り入れて自社を強化するカードで、アセットは「強固なブランドイメージ」など、自社の既存の強みを表す。これらを活用しながら、初めに与えられた「予算」であるチップを増やしていく。
2022年末に開いた社員総会でボードゲーム好きの社員が発案し、開発が始まった。
角さんは「新規事業は多大な投資を何年もした挙げ句に失敗する可能性があり、携わる人材を育てることも容易ではない。しかしゲームなら、疑似的に多くの経験を得られる」と話す。
試行後に実施したアンケートでは、参加した全員が「また研修を受けたい」と回答。さらに「実践に移せそうなことがたくさんある」といった声が寄せられ、今春からの事業化を後押しした。
ゲームの前後に角さんの講義を組み込んだ研修プログラムとして、企業向けに販売する。講義で学んだことを即座にゲームで実践するのが狙いだ。角さんは「気分はまるで創業者。遊びながら決断力や判断力を鍛えてほしい」とPRしている。
▽ボードゲーム 盤上で駒やカードを動かして遊ぶゲームの総称。将棋や囲碁、すごろく、チェスなどの伝統的なゲームも含まれる。世界中で多種多様な製品が販売されており、近年は若者を中心に人気が上昇。都市部にはボードゲームをプレーできるカフェやバーも多い。遊戯目的だけでなく、学習のために作られた製品もある。略称は「ボドゲ」。
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