「北陸応援割」の2回目が石川県内のみを対象に始まりました。ゴールデンウィーク中も多くの人でにぎわった金沢市。その一方で、隣接する町の住民は「大規模崩落が進んでいる」と訴えています。
■朝市通り 夜中に空き巣続発で“無法地帯”
「北陸応援割」に期待が高まるなか、現場で起きているのは…。地震発生から4カ月が経過した今、梅雨を前に被災地では不安が広がっています。
倒れた電柱や倒壊した建物を横目に、暗い夜道を歩いて進む動画。これが撮影されたのは、大きな被害を受けた輪島市・朝市通りです。 輪島市・朝市在住 桐本滉平さん「ゴールデンウィーク初日に知り合いの家の跡地からつぼがなくなっていて。夜中12時くらいに朝市通りに車を止めて、がれきをあさる人たちがいた。無法地帯になっているなと思う」 輪島市の空き巣被害の件数は、今年3月の時点ですでに過去5年で最多となっています。 桐本さん
「全焼したエリアに関しては、(復旧が)全く進んでいなくて。(倒壊した家を)解体したいという人たちが申請しても、来年になるかもしれないという状況。それまでずっと窃盗団がやりたい放題と言っても過言ではない」
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■街が大規模崩落 復旧に4000万円…迫る梅雨■街が大規模崩落 復旧に4000万円…迫る梅雨
復旧が進まない状況に悩まされている場所は、他にもあります。
7日、番組のスタッフが向かったのは、金沢市に隣接するベッドタウン・津幡町です。 ブルーシートで覆われている場所は道路があった場所だということですが、大規模な崩落が起き、今は人も通れず、建物も崩れてしまっています。盛り土で造成された緑が丘地区では、複数の場所で大規模な崩落が発生。現在もこの一帯の住民は、避難生活を余儀なくされているといいます。
震災前後の崩落現場の様子を見ると、道路や住宅があった場所は崩れ落ち、広範囲に被害が出ています。 石川県津幡町 緑が丘復興の会浜谷直樹会長
「私らが訴えてるのはですね、仮復旧されてるんですけども、全然対策になってない」
こう話すのは、崩落現場近くに住む浜谷さんです。
浜谷会長「なぜこのような状況かと言うと、自分の宅地なので、自分らで撤去しなきゃいけない。これを専門業者に見てもらうと、大体復旧するのに4000万円くらいかかる。道路を作る前にまず、これ(崩落したもの)を撤去しなきゃいけない」 道路を元通りにするためには、住民たちで膨大な費用を支払う必要があり、復旧のめども立っていません。しかし、急がなくてはいけない事情があります。 浜谷会長
「一番私たちが不安視しているのは、北陸特有の梅雨の時期に雨が大量に降る。毎日(崩落が)進行している。二次災害が懸念されている」
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■差し迫る危機…「北陸応援割」に複雑な思い■差し迫る危機…「北陸応援割」に複雑な思い
定期的に撮影された写真を比較してみると、崩落の範囲が広がっているのが分かります。 だいち災害リスク研究所横山芳春所長
「崩れた状態のまま、ブルーシートなどは掛かっているが、根本的な復旧とか被害の進行を止めるところまでには至ってないと思う。通常の状況に比べると、雨とか地震によって被害が生じやすい状況にあるということが考えられるので。より一層、注意が必要かなと思う」
差し迫る危機に、近隣住民は次のように話します。
近隣住民「去年、ここも水害があったので。今また雨が降られると、あそこもっと一段と崩れるし」
「心配ですね」
こうしたなか始まった「北陸応援割」に、浜谷さんは複雑な思いを口にしています。
浜谷会長「私どもとしてもたくさんの方が来られて、観光・工芸などを体験していただければ、一番いいことなんですが。今もなお被災地へ帰れない方が大勢いますので、経済と復興を両立させながら、一日も早く復旧・復興に取り組んでいただきたいと思う」 町は地盤沈下が進まないか、センサーを設置して対策をしているといいます。
(「グッド!モーニング」2024年5月8日放送分より)
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