DMMビットコインから482億円相当の暗号資産が流出した事件。その行方をたどると北朝鮮によるサイバー攻撃であることが分かりました。北朝鮮では、外貨獲得のため軍や諜報機関などに所属する複数のハッカー部隊がうごめいていました。
きかっけはヘッドハンティングを装ったSNSでのやり取りです。
この記事の写真 北朝鮮サイバー攻撃部隊のSNSメッセージ「あなたのスキルに感銘を受けた。プログラミングを学びたい」
警察庁などによれば、北朝鮮のハッカー集団『トレイダートレイター』は今年3月、こうしたメッセージ送りDMMビットコインの関連会社社員と接触。不正なプログラムにアクセスさせて社員が持つ権限を乗っ取りました。
しかし、北朝鮮はなぜこうもやすやすと482億円分もの暗号資産を盗み出すことができたのでしょうか。
慶応義塾大学 礒崎敦仁教授「北朝鮮では最高指導者の号令もとで、それぞれの組織が競争するという社会主義体制の中でも社会主義競争が重視されているので、サイバー攻撃をしているのなら複数の組織が競い成果を出そうとする」
国連の最新の報告書に掲載された北朝鮮のサイバー攻撃部隊の組織図。金正恩総書記を頂点にして軍の傘下に複数の部隊が置かれています。トレイダートレイターはその一つに過ぎません。複数の部隊が手柄をあげようと競いあうことで、極めて高いサイバー攻撃能力を手にしていると考えられます。
さらにこんな事情も…。
慶応義塾大学 礒崎敦仁教授「国連安保理による経済制裁がドンドン厳しくなっていく状況の中で、不法なやり方で外貨を獲得する方向に行かざるを得なかったのではないか」
国連の報告書によると、2023年までの7年間で北朝鮮が盗んだ暗号資産は約4500億円。そうして獲得した資金はどこに向かうのか。国連は、北朝鮮が核やミサイルといった大量破壊兵器の開発費用のうち、約4割をサイバー攻撃で獲得していると指摘しています。
今の状況を放置すれば、日本が北朝鮮のさらなる資金源となる恐れも十分あります。
林芳正官房長官「関係省庁が連携して、同種事案への対応を含むサイバーセキュリティーの強化に取り組んでいきます」
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