乾燥が続くと心配なのが火災です。そもそも、なぜ冬は火災が多いのか。身近な場所に「落とし穴」がありました。

■カラカラ列島 住宅火災相次ぐ

 商店街に真っ赤な炎が立ち上ります。火を消し止めるため、四方から消化活動が行われます。

 24日午前6時半ごろ、愛媛県八幡浜市で住宅の2階から火が出たとの通報がありました。火元を含む4軒が全焼。けが人はいなかったものの、現場は混乱に包まれました。

周辺住民
「朝のラジオ体操やっていたら、火事だという放送があり、もう1時間以上、燃えている。やっぱり気を付けないといけない。年末ですから、これ大変」

 空気が乾燥する冬は各地で火災が相次いでいます。

 兵庫県内では神戸市と丹波篠山市で住宅火災が発生し、2人が死亡しました。

 また、岐阜県関市でも住宅火災が発生。動画の撮影者は恐怖を語ります。

撮影者
「全体的に炎が上がっていて、隣まで移っていかないかくらい勢いはすごかった。ほんと怖いなの一言。自分も気を付けないといけないと思った」

 火は約3時間後にほぼ消し止められましたが、焼け跡から1人の遺体が見つかりました。この家に住む91歳の男性と連絡が取れていません。


 火災を広げる大きな要因は「空気の乾燥」。太平洋側は空気がカラカラに乾き、28都府県に乾燥注意報が発表されました。関東はほぼ全域に注意報が出され、東京都心は18日連続です。

 消防庁のデータによりますと、去年1年間の出火件数は3万8672件。約14分ごとに1件の火災が発生したことになります。

 建物火災は乾燥する冬場が最も多く、12月と1月はそれぞれ2000件を超えています。

■火災なぜ多発? 身近な“落とし穴”も

 札幌市消防局の実験で乾燥した木材と湿った木材を同時に燃やします。湿った木材とは対照的に乾燥した木材はみるみる炎が燃え広がっていきます。

札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補
「湿度の低い条件のもとでは夏場などの湿度の高い条件に比べて、実験では約3倍早く燃え広がることが分かっている。空気が乾燥する時期に一度、火災が発生してしまうと延焼リスクが高まります」

 空気が乾燥した冬は夏と比べて燃え広がるスピードが3倍に…。

 湿度30%の乾燥した空気と湿度80%の湿った空気の実験でも、その違いは明らかです。

札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補
「木材の中に含まれる水分量が少ないので一度、火が付くと木材が燃え進むスピードはすごく早くなる」

 さらに、冬場に頻発する静電気にも火災のリスクが潜んでいるといいます。

 例えば、かぜ予防などで重宝する消毒液を容器に移し替える時は要注意。装置で静電気を起こし、消毒液に近付けると消毒液に静電気が触れた途端、炎に包まれました。

札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補
「(消毒液は)引火しやすい液体なのでストーブや熱の発するものは近くに置かない。静電気対策は壁などに手を付いて放電することが対策の1つ」

 冬場に活躍するこたつにも火災のリスクがあります。

 NITE(製品評価技術基盤機構)が注意を呼び掛けたのは、こたつで洗濯物を乾かすことです。実験では衣類がヒーターに接触して発火し、燃え上がりました。この5年間でこたつが原因の火災は347件、そのうち26件が死亡事故につながっています。

 燃えるものを近くに置かないこと、席を離れる時は必ず電源を切ることが必要です。

 万が一、火災が起きた時はどのような行動を取ればいいのでしょうか。

札幌市消防局 防火安全係 佐藤剛消防司令補
「火災発生時は大きな声で『火事だ』と火災が発生したことを周囲の人に知らせて下さい。その後に初期消火。自分で消火行為が可能であれば近くの消火器を使って消火行為をする。天井まで達するような大きな火の場合、自分の身の確保を最優先に避難をしてほしい」

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