阿部俊子文部科学相は24日、政府が創設した10兆円規模の大学ファンドで支援する「国際卓越研究大」に認定された東北大について、同大が作成した今後25年間の研究力、経営力の強化計画を認可したと発表した。前例のない巨額の資金支援を受けて、世界最高水準の研究大を目指す取り組みが動き出す。
大学ファンドは資産の運用益を複数の卓越大に最長で25年にわたって分配する。初回の公募には東京大や京都大など10校が手を挙げ、11月に東北大が支援第1号に正式に認定されていた。
同大は「体制強化計画」で、25年後に民間企業からの研究資金の受け入れを現状の86億円から959億円に引き上げるほか、注目論文数を現状の9倍の6000本に増やすといった高い目標を掲げた。
材料科学やスピントロニクス、未来型医療の研究といった強みを伸ばすほか、次世代放射光施設「ナノテラス」など最先端の設備を生かし、民間からの資金を呼び込む。
国際化も推進する。学部の留学生比率は現状の2%から20%に引き上げ、外国人研究者の比率も9%から30%にする。
同大への2025年度の助成額は約154億円に上る見込み。冨永悌二学長は6月の記者会見で「日本にとってラストチャンスとなる大学改革を先導する」と述べ、資金を教職員の処遇改善など主に人件費に充てる方針を示していた。
文科省は24日から、国際卓越研究大の2度目の公募を始めた。25年5月中旬に締め切り、同年度内に有識者会議が面接審査や現地視察などを踏まえて新たな支援校を選定する方針だ。最終的に数校が選ばれる見込み。
すでに東京大や早稲田大、東京科学大などが2度目の公募に応じる方針を示している。
支援の原資となる大学ファンドの23年度の運用実績は、評価損益を含む運用成績は9934億円のプラス、株式の配当や確定した損益を合算した損益計算書上の当期利益は1167億円の黒字だった。26年度末までに年3000億円の運用収益達成を目指している。
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