埼玉県川口市で暮らす仮放免中のクルド人の状況について、中野英幸法務政務官ら法務省の関係者が13日、現地視察や奥ノ木信夫市長との意見交換をした。

 同市や隣接する蕨市には、約3千人のクルド人が住んでいるとされる。このうち川口市には、難民認定申請中で法務省から仮放免の措置をされている非正規滞在の外国人が700人近く住み、多くはクルド人とみられる。

 仮放免だと、住民票もなく、就労もできず、健康保険にも加入できない。市は人道的立場から、医療や子どもの就学の経費を負担しているが、医療費の未収金の問題などを抱えている。

 一方で昨年7月、同市立医療センターでクルド人とみられるトルコ国籍の男性同士によるもみあいがあり、複数人が逮捕される騒動があった。インターネット上では、クルド人を非難したり排斥を求めたりする投稿や記事があり、これに対し在日クルド人らがフリージャーナリストに損害賠償を求め訴訟を起こす動きもある。

 この日は、中野法務政務官、地元選出の新藤義孝・経済再生担当相や出入国在留管理庁の職員らが、比較的クルド人が多い地域の公園2カ所を視察した。市の担当者らによると、外国人によるたばこの吸い殻のポイ捨てなどが問題になっているという。

 その後、市役所で、自民党の市議などを含めた意見交換会があった。意見交換後、中野政務官は今回の目的を「自治体から現場の声を聞くのが狙い」とした上で、「ルール違反をする外国人には厳正に対処するが、適切な支援などは行っていく」と話した。奥ノ木市長は記者団に対し、仮放免のクルド人のうち、犯罪者は強制退去させ、そのほかは就労を可能にするよう求めていることを強調。「財源と権限を市に与えてくれないと、何もできない」と改善を求めた。(浅野真)

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