元長野県議会議員の丸山大輔被告(50)は現職だった2021年9月、塩尻市内にある自宅に併設された酒造会社の店舗で妻の丸山希美さん(当時47)の首を圧迫して窒息させ、殺害したとして殺人の罪に問われています。
元県議が関わったとする直接的な証拠がない中、ことし10月から始まった裁判では、妻を殺害したと言えるのかが争点となりました。
検察は、防犯カメラに写った車の特徴などから元県議が滞在していた長野市から車で移動して殺害したと主張したうえ、「不倫関係にあった女性と交際を続けるために妻が邪魔になった。第三者が犯人であるかもしれない合理的な疑いの余地はない」として、懲役20年を求刑しました。
一方、弁護側は、防犯カメラに写った車は元県議のものとは言えず、妻との関係は良好で殺害するほどの動機もないとして無罪を主張し、元県議も「殺害したのは私ではありません」などと述べました。
判決は、23日午後1時半から長野地方裁判所で言い渡される予定で、裁判所がどのように判断するか注目されます。
《裁判での双方の主張は》
今回の裁判では、妻を殺害したのが元県議なのかという「犯人性」が最大の争点でした。
どうやって現場に
事件の際、現場にいたかどうかについて、検察は元県議が当時、宿泊していた長野市内の議員会館から塩尻市の現場までのルート上にある6か所の防犯カメラに元県議の車が写っていたとして車で自宅に移動して妻を殺害したとしました。
防犯カメラの映像では、運転手の姿や車のナンバーが確認できず、検察は映像解析の専門家の証人尋問を行って車の形やキズの位置の鑑定から元県議の車だと主張しました。
一方、弁護側は映像解析の手法が信用できないなどとして防犯カメラに写った車は元県議の車とは言えないと反論しました。
動機は
また、殺害の動機について、検察は、元県議が、妻の実家に多額の借金をしていたほか、選挙に当選し続けるため義理の父親の人脈を頼りにしていたとしたうえで、妻の実家側との関係を保ったまま不倫相手と交際を続けるため「妻が邪魔になった」と主張しました。
これに対し弁護側は、妻の実家の支援は選挙の当落に影響はなく、借金の返済も求められたことはなかったなどとして、「妻を殺害する動機は立証されていない」と主張しました。
元県議が妻を殺害したとする直接的な証拠がない中で、審理では合わせて21人の証人尋問が行われ、裁判官や裁判員がどのような判断をするかが焦点です。
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