全国のこども食堂を支援するNPO法人「むすびえ」の集計によると、2024年度の同食堂数(速報値)は全国で10866カ所。前年度に比べて1734カ所増え、初の1万台に乗せた。また公立の中学校数(9265校)を上回り、この増加ペースが続けば、5年後の29年には全国の公立小学校数を上回る見通しだという。
子ども食堂の多くはボランティアが運営している。経済格差が広がる中で、主にひとり親家庭の子どもを「食の貧困」から救うため、無料か格安で食事を提供してきた。しかし、次第に需要が多様化しており、子どもから高齢者まで誰でも利用できるような「多世代の交流の場」として活用され始めている。
年齢制限を設けていない食堂が7割を占めており、年間の延べ利用者数(推計1885万人)のうち、子ども(1299万人)が7割、大人(586万人)が3割となっている。
むすびえの湯浅誠理事長は、「少子高齢化や人口減少が進み、SNSも普及して、リアルな人間関係や地域のつながりがスカスカになっている。子どもに限らず、単身者や高齢者も含めて、自分が行ける地元の居場所が求められている」と話す。
こども食堂は資金不足が悩みの種。最近は需要の拡大に対応するため、自治体が助成したり、食堂自らクラウドファンディングで調達したりする例も見られる。ただ、物価高騰で食材費が高騰したり、コメ不足が響いたりして、開催回数を減らさざるを得ない食堂も出てきている。
こども食堂が設置された学区の割合を示す充足率は、全国平均で34.66%。都道府県別では、公的支援が活発な沖縄県がトップで、2位鳥取県、3位東京都の順だった。九州地方で食堂を運営するボランティアは、「貧しい子ばかりが集まる施設は作らないでほしいという声が地元住民の間で上がり、開設が難しい場合がある」と話しており、地域によっては理解が進んでいないのが実情だ。
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