全国知事会が先週、自民党に提言を手渡した。そこには「地方創生に立ちはだかる最大の壁は人口減少」であり、「国を挙げて人口減少・少子高齢化対策に積極果敢に挑戦していくことが何より重要」とある。
【映像】さすがに過疎りすぎ…?住民1000人の京都・笠置町の様子
今年の人口戦略会議の発表によると、2050年までに消滅の可能性がある自治体は、全国で744にのぼる。なかでも深刻なのが、京都府の山間部にある笠置町(かさぎちょう)だ。人口はピーク時(1947年)の3分の1以下となる1072人で、その半数以上が65歳を超えている。また、10月の町議選では定数8人に対して立候補者不足となり、最終的には現職議員の家族ら3人が議席を埋めた。
危機的に思われる状況だが、3月に初当選した笠置町の山本篤志町長は、人口減少こそチャンスだと訴える。『ABEMA Prime』では山本町長から、その真意について聞いた。
■住民1000人の笠置町
山本町長は、笠置町の強みとして、「住民全員の声を聞けるのは、日本でもここだけだ」と語る。「住民の声がそのまま聞こえるほどの強みはない」。実際にはなかなか時間は取れないとしつつ、「少なくとも任期中に1世帯ごと回り、全員の声を聞いていきたい」と期待を込めた。
現状は「町に勢いがない」ことが大きな課題だ。「現状では、元々いた住民よりも他自治体から来た人々が事業をしているが、彼らが町内で収益を立てられていない。このまま放置すると、その人々が逃げてしまい、町の経済力がなくなるのではと危惧している。まずはそこにメスを入れたい」。
地方再生を手がける「studio-L」代表で関西学院大学教授の山崎亮氏は、約10年前に一度、笠置町で住民とのワークショップを行ったことがあるという。「当時のメンバーを通じて、面白い活動が生まれていると聞いている。駅舎にカフェを実験的に作ったり、その近くにアウトドアの店ができたりと、外部からの人や地元住民が最先端の面白い取り組みをやりつつある印象がある」と語る。
■コミュニティーを維持する「面識経済」とは
山本町長は「人口減少を急激に止めるのは、正直なところ無理だと思っている。最低でも現状維持だ」と本音を明かし、「住民の人口を増やすというよりも、“関係人口”を増やす方が、もっと町のためになるのではないかと思っている」との見方を示す。
山崎氏は「人口規模が違う自治体の首長が、全部同じ役割ではない。人口100万人の市長と、人口1000人の町長が、同じことをやる必要もない」として、「人口1000人は大きな親族のような感じだ」と評する。
笠置町の生き残り策として山崎氏は、人口10万人の自治体と根本的に異なるため、「大きな親族一同」をまとめていく感覚で、コミュニティーで価値観を共有できる規模において、「面識経済」で経済を回す方向性を提案する。
面識経済とは「顔が見える関係にある人たちと、やりとりをする」ことを指し、「まず顔見知りから買うことを考えてみようという経済を、もう一度見直してみたらどうだろうか」とアドバイスする。
山本町長は「食料品は笠置町内でほとんど売っていないので、隣町に車で買いに行っている」と説明する。これに山崎氏は「共同売店」を参考例として紹介し、「100年前に沖縄で誕生した。店がないので、地域の人が一緒になって店を始めた」と説明した。
■「子供たちがこの街で住んでいきたいと思えるかが最後の砦」
いま町長として取り組みたいのは、「子育て」の政策だという。「他自治体から来てもいいが、笠置町で子供が育つことで、町が続く未来への投資になる。町で育った人が出ていっても、戻ってこれる仕掛けづくりも必要だ」と目標を語る。
山崎氏は「“消滅可能性自治体”は、役場がなくなるかどうかの話で、仮に役場がなくなっても地域は当然残る」といい、「役場が合併しなくても、一部事務組合などが広域事業で水道などのインフラをととのえられる。むしろ流域単位で上下水道をやった方が、効率が良いこともある」として、自治体の存続と住民生活はイコールでないと解説する。
そして、「水道事業をそれぞれの役場でやらず、複数の自治体で1つにする。合併せずにインフラを統一する方法は、すでにアメリカやドイツでも行われている」といった状況に触れつつ、「子供たちがこの街で住んでいきたいと思えるかが最後の砦だ」とまとめた。
(『ABEMA Prime』より)
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