若者に限らず、中高年にも広がる闇バイトの危険性が注目されている。ある学校ではゲーム「レイの失踪」を用いて、犯罪から身を守る授業が行われていた。一方、中高年が狙われる背景には社会経験や信頼性があり、アドリブが利くなど重宝されるため、闇バイトのリクルーターに誘われやすいと指摘されている。

ワークシートで学ぶ…闇バイト対策授業の広がり

テーマは、「レイの失踪、しってる?」だ。

この記事の画像(12枚)

「レイの失踪」はゲームだが、ただのゲームではない。今、社会問題になっている闇バイトに加担してしまうまでを学ぶことができるゲームだ。闇バイトは、若い世代だけではなく、30代以上の働く世代や高齢者にも広がりを見せ始めている。

9日、岩手・一戸町の岩手県立北桜高校で行われていたのは、闇バイトなどのトラブルから身を守るための授業だ。

岩手県二戸警察署・菅野隆生活安全課長:
犯罪に巻き込まれないためには、高額報酬などの甘い言葉には惑わされないでください。

この授業では、闇バイトに使われる隠語なども学んだ。

参加した生徒:
(闇バイトには)隠語が使われるって、それに自分でちゃんと気づけるようになろうと思いました。

さらに、静岡市のつくば開成高校静岡校では、ワークシートを使った授業も行われている。

ワークシートでは、「やってもいいと思うものはどれか」という項目で、「荷物を届ける」「銀行口座を貸す」など、生徒が判断するようになっている。実際には、これら全てが犯罪につながり得るということだ。

年末年始の休みを前に全国で行われているこうした授業の背景にあるのは、若者に広がる闇バイトへの勧誘だ。

大学生(10代):
学生なので稼ぎたいのはあるけど、(闇バイトに)手を出したら終わりだと思うので。

会社員(20代):
学生のときって金がない。そのときに1回返信して、友達に「それやばいやつやで」って言われて。それで連絡取るのやめて。

記者:
どこまで進んだ?

会社員(20代):
会ってはないです。内容はまだ聞く前で、「簡単に稼げる仕事がある」って言われて。1日で10万円とか。

闇バイトの危険性を学ぶ授業で使われているのが、謎解きゲーム「レイの失踪」だ。

スタッフ:
裏アカに入って、怪しげなやりとりをしているレイを見つけて。

このゲームは慶応大学の学生たちが開発したもので、突然失踪した友人・レイの行方を追うことで、闇バイトに加担していく様子を追体験できるというものだ。

竹俣紅キャスター:
私も少しやってみたのですが、本当にSNSの中にいるような、そして楽しく謎解きをしているうちに、自然とその仕組みを知ることができるゲームですね。こういったポストや投稿などがあると怪しいんだな、まずいんだなといったことが分かります。

 中高年が狙われる理由に「指示通り動く」

竹俣キャスター:
闇バイトに手を染めてしまうのは、若者だけではないんです。2023年、50歳の男がSNSで闇バイトに応募し、複数の高齢女性から合わせて1300万円を騙し取った事件も起きています。

竹俣キャスター:
先日発表された、闇バイトに応募はしたけども実行前に警察に連絡するなどして保護されたケースを見てみると、多くが若者ではあるんですけど、30代も1割、40代も1割、50代以上が1割で、中高年層に広がりを見せています。

竹俣キャスター:
実際にニーズはあるのか、犯罪ジャーナリスト・多田文明氏によると「実は、中高年はアドリブが利くなど重宝される」ということで、闇バイトのリクルーターに誘われやすいと言います。

詳しく理由を見ていくと、1つ目は「指示通りに動く」ことで、中高年層は社会経験があるため指示通りに動き、経験があるからこそ、機転を利かせてアドリブができてしまうということです。

2つ目は「目立たない」ことで、闇バイトというと、若い人をイメージするため、犯罪の現場、犯罪の場面を見られたとしても、まさか闇バイトだと思わない、分かりにくく目立ちにくいということなんです。

3つ目は「リクルーターの役割に適する」ことで、社会経験があるため、説得力があるという点です。「銀行口座を作ればお金がもらえる」「お金をあげるよ」と言ってしまえば、「このぐらいの年齢の人なら信用があるかな」と思ってしまいます。

青井キャスター:
中高年が、さらに手を染めてしまう可能性が出てきているということですよね。

SPキャスター中村竜太郎さん:
まずは疑ってかかることが、大事だと思います。中高年だから、社会経験豊富だから大丈夫ってことはまずないと思うんですよ。私の経験上でも、自分は絶対に引っかからないと言ってる人が、結構ドツボにハマったりとかするものなんですよね。

あとは友人知人に、ちょっと怪しいなと思ったら相談してみるとか、客観性を担保することも大事なんじゃないかなと思いますね。

青井キャスター:
特に中高年の方、ネットに弱かったりする方もいらっしゃるでしょうし、そこから気を付けて誰かに相談するというのは手かもしれませんね。

竹俣キャスター:
多田さんもおっしゃっているんですが、中高年の方、騙されることへの警戒心は強いんですよね。ただ、自分がまさか加害者側になるなんて考えてもいない、そういう発想もないですよね。やはり家族ですとか、周囲の人同士でそういったこと加担する危険性があるということを、話しておくことが大事かなと思います。
(「イット!」12月13日放送より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(12枚)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。