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 冠雪した「富士山」と「五重塔」を一望できる公園に外国人観光客が殺到しています。渋滞や迷惑行為が相次いでいることから、市は、公園の入園料の設定を検討しています。

■深刻オーバーツーリズム 住民悲鳴

台湾からの観光客
「The mountain is very beautiful!」 メキシコからの観光客
「とても大きいね…壮大だ!」 山梨県富士吉田市 この記事の写真

 「富士山に最も近い街」とも言われる山梨県富士吉田市。この時期には雪化粧した富士山を間近で見られるとあって、多くの外国人観光客が訪れています。なかでも人気のスポットが「富士山」「五重塔」という日本風情漂う景色を楽しめる「新倉山浅間公園」です。

過去最多の来園者数を記録

 先月はおよそ15万人が訪れ、ひと月の過去最多の来園者数を記録しました。

メキシコからの観光客
「ここからの眺めは本当に素晴らしいよ。すべてを同時に楽しめるんだ。自然、山、すべてだ!」 海外のSNSを中心に話題

 コロナ禍以降、この絶景が海外のSNSを中心に話題となり、観光客らが押し寄せるようになったといいます。ただ、地元に住む人たちの思いは複雑です。

 公園近くの住宅街では観光客で渋滞ができています。閑静な住宅街なだけに、エンジン音などもかなり目立ちます。一般の住宅の敷地内では、そこで靴の砂を払ったりしている人もいます。

“オーバーツーリズム”による弊害

 公園周辺は慢性的な渋滞が起き、レンタカー同士の交通事故や観光客による住宅敷地内への立ち入りなども後を絶たず、“オーバーツーリズム”による弊害が見られます。

敷地内でたばこを吸う観光客も 地元住民
「ここの周辺で(観光客が)たばこを吸ったりするんです。今からの時期が本当に怖い。以前も家の敷地内で吸っている方がいて、注意しても言葉が通じなかったりして…」 帰宅を諦める住民も 地元住民
「(観光客の渋滞で)家に帰れない時もありました」
「(Q.そういう時はどうする?)違う所に行っちゃう…」
「(Q.帰宅できないから一回諦める?)諦める。1回ね。特に土曜日」 地元住民
「ここ(自宅の庭)が駐車場だと思って、この辺に車が止まっているとか…そこに(車で)入ってきて(家の塀の)角の所をガリガリとよくやる」

 取材をしていた最中にも、外国人観光客同士の事故でしょうか、警察が来ました。

対応が追い付かない状況に

 市は周辺に警備員を最大でおよそ20人配置し、8カ所の駐車場を開設していますが、対応が追い付かない状況です。

駐車場の警備員
「やり切れないよ…こんなに車が多きゃ…」 市は入園料を徴収することを検討

 市の対策費も年間で8000万円にまで膨れ上がっているといい、市長は先週開かれた会見で「公園の入園料を徴収することを検討している」との考えを示しました。

メキシコからの観光客
「(Q.入場料が徴収されるようになっても来たいか)もちろん!その価値があると思うよ。他の観光地も入場料を取る所が多いし、500円くらいかな。1000円くらい取るべきだと思うよ」

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■交通ルール守らない危険行為も

■交通ルール守らない危険行為も

狭いスペースに多くの外国人観光客が密集

 問題が起きているのは公園周辺だけではありません。商店街にある交差点では、ざっと30人から40人でしょうか。狭いスペースに非常に多くの外国人観光客が密集しています。

富士山を背景にした昭和レトロな街並み

 雄大な富士山を背景に昭和レトロな街並みが撮影できるとして、ここ数年で多くの外国人観光客が訪れるようになったという交差点。

台湾からの観光客
「(Q.ここは観光客でとても混雑していますが…)これだけすてきな写真が撮れる場所なので、みんなここに集まるのも無理はないと思います」 ウェディングフォト撮影に来る人も

 なかには、あえてこの場所で「ウェディングフォト」を撮るために、はるばる中国からやってきた新婚さんもいました。

中国からの観光客
「ここの景色が非常にきれいで“映える写真”が撮れるので」
「この場所はRED(中国版インスタグラム)で知りました」

 そして、横行しているのが、交通ルールを守らない危険行為です。

赤信号を渡る女性

 赤信号にもかかわらず、ポーズを決めながら道路を渡る女性たち。警備員が一度注意したにもかかわらず、再び赤信号を渡っています。

 1時間でおよそ300人が訪れるというこのスポットも地元住民を悩ませています。

地元住民の声 地元住民
「運転していて、やっぱり危ないじゃないですか。本当に人をひいてからでないと(市は)対応してくれないのかなって。住んでいる人がきちんとした生活を保ちながらの『観光』。そこはきちんとしてほしい」

(「グッド!モーニング」2024年12月15日放送分より)

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