インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、新型コロナの感染が同時に拡大しています。咳止めや抗生物質などの薬が不足するなかでどのように備えたらよいか、取材しました。

■インフル・マイコ・コロナ 感染拡大

 14日朝、都内のクリニックを受診した12歳の中学生。38度の高熱と、せきがとまりません。

 検査の結果は…。

院長
「インフルエンザAの抗原検査、陽性ですね」

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長
「先週の木曜日から非常に数が増えて、爆発的なインフルエンザの感染者の数だと思う。1週間でこんなに変わるのかと。4倍、5倍以上の患者が押し寄せる」

 猛威を振るうインフルエンザ。全国の感染者数は、8日までの1週間で1医療機関あたり「9.03人」。前の週からほぼ倍増しています。

院長
「喉真っ赤。咳、結構ひどいですか?」
患者(50)
「出だすとひどい」

 流行しているのは、インフルエンザだけではありません。

 50歳の女性は…。

院長
「インフルエンザとコロナの同時感染ですね」

 全国の新型コロナの感染者数は2週連続で増加。さらに、今年はマイコプラズマ肺炎も、過去最高の水準で流行しています。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長
「3つが同時に流行している状況になってきたので、トリプルデミックが現実味を帯びてきた」

 懸念される3つの感染症の同時流行「トリプルデミック」。共通点は「発熱」と「咳の症状」などです。

■医薬品不足 備えどうする

 感染症などの流行により薬の需要が高まっているなか、薬局では患者に対する薬の供給が追い付いていない状況になっています。

 案内してもらったのは、薬の保管室。

pharb 中川聡代表取締役
「こういった抗菌薬だったり、1回で15錠とか使うので、1人分もほぼほぼ出せない。咳止めも今100錠ちょっとあるが、これも1回で42錠使うので、もって2回か3回ぐらいの在庫しかない」

 枯渇している咳止め薬や抗生物質などは医師に後発の薬「ジェネリック薬」などを勧めるほか、こんな苦労も…。

pharb 中川聡代表取締役
「近隣の薬局に小分けができるので他の薬局に協力を仰いで薬を集める」

 製薬会社に注文しても…。

pharb 中川聡代表取締役
「卸売会社に確認しても入荷は未定となっている。咳がつらくて、呼吸するのがつらい患者に薬を届けられないのは、この先も不安の中で仕事をしなくてはいけない」

 なぜ、薬が足りないのでしょうか、原因の一つに挙げられているのが、今年改定された薬の価格が安すぎることです。

佐賀大学医学部小児科 垣内俊彦診療准教授
「薬価が下がっているので、製薬会社、ジェネリック会社も含めて増産をしようとしても、なかなか利益につながらない」

 また、10月末の時点で、1万6000余りの医薬品のうち18.5%が供給停止や限定出荷になっていることも「薬不足」に拍車を掛けます。

 私たちは、どう備えればいいのでしょうか。

佐賀大学医学部小児科 垣内俊彦診療准教授
「人の免疫を司る細胞の約70%は消化器、腸にある。特に免疫に関しては腸内細菌がすごく大事。いわゆる善玉菌を増やす。例えば発酵食品やヨーグルト、乳酸菌飲料。医食同源という言葉もあるが、食事はすごく大事」

 ウイルスや細菌との接触を減らすため、マスクの着用、手洗い、うがいなど、基本的な対策も心掛けてほしいということです。

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