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 晩婚化する社会で、高齢になってから子どもを持つ家庭もある。堀口マモルさん(69)と鮎美さん(42)の年の差27歳夫婦には、長女の笑未(えみ)ちゃん(5)と、次女の笑舞(えま)ちゃん(2)がいる。

【映像】堀口マモルさん&鮎美さんの育児の様子

 2人が出会ったのは、マモルさん51歳、鮎美さん24歳の時。1年の交際を経て結婚したが、当初は子どもを作るつもりはなかったという。「仕事が落ち着いたら子どもが欲しい」と考えるも、気づけば鮎美さんは30代中盤、マモルさんは60歳を超えていた。そして長女が生まれた時にマモルさんは64歳、次女は67歳で授かった。

 マモルさんの仕事は写真家で、世界的に著名な歌手やアスリートなどを手掛けるなど、今も現役で活躍。また、体力づくりのため週2回のジム通いを続けている。目標は、次女が20歳を迎える87歳まで元気で働くことだ。

 しかし、マモルさん一家に対しては、一部から批判的な声もある。子どもをつくろうと思った時に年老いていたらどうするか。『ABEMA Prime』で堀口夫妻とともに考えた。

■子育てによる負担は「ない。20歳の方でも、69歳の僕でもやることは同じ」

 自身が高齢となって子どもを迎えた経緯について、マモルさんは「忙しいから子どもを作らなかったが、彼女が35を超えてから『やっぱり欲しい』となった。僕の年齢は関係なく、彼女の産みたいという夢を叶えようと思った」と説明。

 鮎美さんは、「夫の年齢はあまり意識していなくて、私の年齢的に限界かなと思い、そろそろ子どもをつくらないと、と思った」そうだ。「以前はお互い仕事中心だったが、子どもができてからは家事にも積極的に参加してくれるようになった」と、マモルさんの変化も明かす。

 マモルさんの一日は、「朝5時頃に起き、全員の食事を作る。6時すぎに家族を起こして、洗濯機を回して、子どもにご飯を食べさせ、7時30分に保育園に送る。夜は僕が迎えに行き、料理は奥さんが作る」といった流れだ。年齢による体力の衰えは感じるが、「それは仕方がないこと。くよくよ考えても意味がない」と捉えている。

 ネットでは、「子どもができるのは年齢関係なく奇跡的なこと」「ご本人が色々考えられた結果だから応援したい」「しっかり子育てできる親は何歳だろうと尊敬できる」といった賛同の声がある一方で、「90歳まで働くのは現実的ではない」「将来子どもたちをヤングケアラーにすることになるかも」「子どもの先のことも考えてないし親のエゴ」との批判も出ている。

 しかし、97歳のマモルさんの母をふくめて、「周囲はポジティブな反応がほとんどだった」そうだ。「何も問題なく『頑張ってね』と言われた。親のエゴで子どもを作ったわけではなく、何歳であろうと子どもの将来を考えている。この先何が起こるかはわからないので、できる範囲でベストの状態にしようと動いている」と語った。

■高齢で子どもを持つリスク、「授業参観に来ないで」と言われたら…

 成長するにつれて、周囲の若い親と比較される可能性がある。将来、娘から「授業参観にパパは来ないで」と言われたらどうするか。マモルさんは「今は『笑未ちゃんのお父さん来たよ』と言ってくれるが、大きくなればわからない」との認識を示し、「子どもが希望するなら行かない」と断言する。

 晩婚の心構えについて、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏は「遅く子どもを授かると、それだけお金を貯める期間は短くなる」と指摘。「必要な費用の優先順位を決めることが重要。教育費は、高校ぐらいから急増する。デフレの30年間でも、教育費だけは上がってきた。教育費を最優先に、コツコツ積み立てること。政府も子ども支援に力を入れていて、児童手当も所得制限なしで高校卒業まで得られる。支援をフル活用して、確実に貯めるのが一番だ」との見方を示す。

 また、高齢で子どもを持つリスクとして、夫が高齢の場合には、病気などで働けなくなると、経済的に困窮する可能性。妻が高齢の場合には、妊娠・出産において流産や早産、胎児の染色体異常の確率が上がるおそれがある。

 そして、子どもが小さい頃から親の介護をするヤングケアラーになる可能性だ。これにマモルさんは「大事なポイントだが、そういう話をし出すと限度がない。例えば、子ども2人ならこれだけお金が必要となると、富裕層しか子どもをつくったらダメだという世界になってくる。いちいち討論していても前に行かない」との考えを述べた。

 ヤングケアラーに関連して、井戸氏は「全員が介護を要するわけではないが、介護知識は必要だ」と説く。「介護保険制度が2000年にでき、改正で使いやすくなっている。ひとりでなんでも抱え込まず、行政やケアマネージャーに相談して、地域や社会で子育てする考えが重要になってくる」。

 今後の資金について、マモルさんは「生命保険をベースに、子どもの学資保険にも入っている。長女はNISAもやっている」と説明。マモルさんが先立つ不安を問われた鮎美さんは、「深くは考えず、できることを意識している。今を楽しみつつ、お金を貯めている」と話した。

■年齢を重ねてからの子育てには良い面も?

 一方で、高齢で子どもを持つことには、良い面もあるようだ。井戸氏は「女性の出産年齢には限りがあるものの、年齢を重ねてからの子育ては、落ち着いた目で見られるのが大きなメリットだ」と話す。自身が26歳で出産した当時を振り返り、「マニュアルどおりに、必死に毎日やっていたが、今思えばあれはなんだったんだろう?と思う」と明かす。

 また金銭面では、「妻はできるだけ厚生年金やiDeCoに加入したほうがいい。女性のほうが長生きなので、子どもと長く暮らせるだけの資金をコツコツ貯めると、安心につながるのではないか」と勧めた。

 仕事面でプラスになることもある。マモルさんは2007年から、世界中の赤ちゃんを撮影・展示などするNPO活動「Smiling Baby」を行っている。その被写体は、17年間で4700人にのぼるという。「子どもができて、赤ちゃんが思っていることがわかるようになり、もっといい笑顔を引き出せるようになった」と語った。(『ABEMA Prime』より)

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