「おなかがすいたな」。徳島市の川内中学2年生の2人組、橋本梨珠(りず)さん(14)と桑村咲帆(さほ)さん(14)は、11月4日の昼過ぎ、徳島城跡での陸上競技部の練習から帰る途中、自転車で吉野川橋を渡っていた。

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 前方で、若い女性が橋の欄干に両手と右足をかけていた。「川に飛び降りようとしているのでは」と感じた2人は自転車を止めて女性に近づいた。

 「大丈夫ですか。危ないですよ」。2人は語りかけたが、女性はじっと川を見つめたままで、返事はなかった。

 「このままでは飛び降りる」。そう考えた橋本さんは、女性の腕をつかんで「一回、下りましょう」と話しかけた。

 すると女性は欄干にかけていた右足を下ろした。桑村さんは女性の背中をさすった。

 川で船に乗っていた男性が異変に気づき、徳島県警の徳島板野署に電話で通報。約10分後に署員が到着して、女性を保護した。

 署によると、女性は県内在住の10代後半で、自殺しようと考えていた。女性の母親は「助けていただいてありがとうございます」と署員に対してお礼を述べたという。

 署は13日、人命救助に貢献したとして、橋本さんと桑村さんに感謝状を贈った。笠井寿範署長は「とても勇気のある行動だった」とたたえた。

 橋本さんは「何よりも女性の命が助かってよかった」と振り返り、「また同じような出来事があっても、今回のように対応したいです」。桑村さんは「あのときは頭の中が真っ白になった。これからも困っている人を見かけたら、助けたいです」と話していた。

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