「紀州のドン・ファン」の元妻に無罪判決です。検察側は状況証拠を積み重ね、無期懲役を求刑していましたが、和歌山地裁は元妻が「殺害したと推認するに足りない」として無罪を言い渡しました。
■黒いスーツにマスク姿…元妻「無罪」に涙
裁判の争点 この記事の写真6年前、不審な死を遂げた「紀州のドン・ファン」こと野崎幸助さん(当時77)。殺人などの罪に問われているのは、50歳以上離れた元妻・須藤早貴被告(28)です。「覚醒剤を摂取させ殺害したかどうか」が裁判で争われてきました。
注目の裁判。検察が「無期懲役」を求刑するなか裁判所が出した判決は…。
元妻に無罪判決 裁判長「殺人と覚醒剤取締法違反の事件の判決を言い渡します。主文、被告人は無罪」
黒いスーツにマスク姿で出廷した須藤被告は「無罪判決」に涙を流しました。
検察は、殺害の動機は野崎さんから離婚を求められ、遺産や月々の手当てが受け取れなくなることにあると指摘していました。
検察側「覚醒剤を摂取させたのは、須藤被告以外考えられない」
須藤被告が自ら覚醒剤を入手し、犯行に及んだという主張については…。
「氷砂糖の可能性が否定できない」 裁判長「野崎さんが覚醒剤を誤って過剰摂取した可能性も否定できない。被告が殺害したとするには合理的な疑いが残る。売人から受け取った覚醒剤のようなものは、氷砂糖の可能性が否定できない」
覚醒剤の売人の1人が「氷砂糖を売った」と供述している点を挙げました。
事件前、須藤被告が「完全犯罪」「覚醒剤過剰摂取」「老人 死亡」などと検索していたことに対しては…。
「殺害したと推認するに足りず」 裁判長「多額の遺産など殺害の事情はあるが、これらの事情を検索履歴と合わせても殺害したと推認するには足りない」
直接的な証拠はなく、いずれも殺害を決定づける証拠にはならないと判断しました。
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■今後は? 元検事「検察が控訴する可能性」■今後は? 元検事「検察が控訴する可能性」
疑わしい点はあるが、犯罪の証明ができないとした和歌山地裁。
裁判員の会見 裁判員の会見(判決後)「まず今回の裁判、期間が長いというのと、証人の数も多いし、証拠の数も多いので、それをすべて吟味したうえで判決を出すのはすごく苦労した点かなと思います」
今回の判決について、元検事の若狭勝弁護士は次のように話します。
疑わしきは罰せずを貫いた意味では… 若狭弁護士「少なくとも有罪にするだけの疑いというところまではいかないということで無罪にしている。本来、刑事裁判の鉄則である疑わしきは罰せずを貫いた意味では、私はこの無罪判決は評価できると思ってます」
今後については…。
無期懲役を求刑しての無罪 若狭弁護士「検察内部の取り扱いとして無期懲役を求刑して、それが無罪になるというのは有期懲役20年で無罪になるのと、性質が結構違う。相当なショックだと思います。今後、大阪高等裁判所に検察が控訴する可能性はその意味からしても大きいと思います。有罪を求めていくと思われます」
(「グッド!モーニング」2024年12月13日放送分より)
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