将棋の第37期竜王戦七番勝負第6局が12月11・12の両日、鹿児島県指宿市の「指宿白水館」で指され、藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者の佐々木勇気八段(30)に106手で勝利。シリーズ成績4勝2敗で竜王位防衛と4連覇を決めた。この結果で、自身の通算タイトル獲得数を26期(歴代6位)に伸ばした。
【中継】藤井竜王VS佐々木八段 終局後の表情(生中継中)
藤井竜王が最高峰タイトルの防衛を果たした。決着局となった第6局は、挑戦者の佐々木八段の先手で相掛かりの出だしに。両者の研究が噛み合い、相掛かり戦としては異例のハイスピードでの進行となった。シリーズを通して深い研究で藤井竜王を翻弄してきた佐々木八段。本局でも挑戦者が主導権を握ったかと見られていたが、1日目の封じ手直前の折衝で変調。終盤戦では藤井竜王が最短で勝ちに突き進むスリリングな指し回しを見せて挑戦者を圧倒し、勝利を飾った。
この結果、シリーズ成績4勝2敗で藤井竜王が防衛。初めて竜王を獲得した2021年度から4連覇を達成した。藤井竜王は「本局も含め、後手番で苦戦する将棋が多かった。佐々木八段にいろいろ工夫をされて、対応力をもっと磨いていかないといけないと思った。内容に課題が残るところもあったが、何とか防衛という結果を出すことができて良かった」とコメント。初のタイトル挑戦を終えた佐々木八段は、「いろんな作戦に挑戦したシリーズで、準備面は大変だったがやりがいがあった。藤井竜王と8時間2日制の将棋を指せたことは勉強になった。藤井竜王を1分将棋に追い込むことができなかったこと、持ち時間の使い方は課題」とシリーズを総括していた。
2024年のタイトル戦は、本局をもって終了。藤井竜王にとっては、全八冠防衛に向けて走り出した1年だったが、4連覇を目指していた第9期叡王戦五番勝負では伊藤匠七段(肩書は当時)に敗れ、初めてタイトルを失った。それでも藤井竜王は歩みを止めることなく、ヒューリック杯棋聖戦五番勝負、伊藤園お〜いお茶杯王位戦七番勝負でそれぞれ防衛5連覇を果たし、史上最年少で永世称号を手中に収めた。そして迎えた本シリーズ。初タイトル挑戦で勢いに乗る佐々木八段と壮絶なシーソーゲームを繰り広げたが、見事4連覇を達成。年内最後の最高峰タイトル戦を良い形で締めることとなった。
まもなく訪れる新年には、1月12日から防衛4連覇を目指すALSOK杯王将戦七番勝負が開幕する。さらに再び全冠制覇を狙うべく、叡王戦の挑戦者決定トーナメントで2度目の“八冠ロード”も始まる。絶対王者は、新たな年にどんな将棋の未来を描いてくれるのか、期待は高まるばかりだ。
◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王4期、名人2期、王位5期、叡王3期、王座2期、棋王2期、王将3期、棋聖5期の通算25期。棋戦優勝は10回。2023年度の第81期名人戦七番勝負を制し、20歳10カ月の最年少名人に就位。同10月には第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。2024年度にはそれぞれ5連覇で永世王位、永世棋聖の資格も獲得した。通算成績は390勝79敗、勝率は.832。趣味は鉄道、チェス。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
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