「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん(当時77歳)に対し、何らかの方法で覚醒剤を飲ませて殺害した罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判。

先ほど和歌山地方裁判所は須藤被告に「無罪」を言い渡しました。

その判決理由についてお伝えします。

■「野崎さんが誤って覚醒剤を多量摂取した可能性はないとはいいきれない」

・当日の状況、被告人と野崎さんの関係から、被告人が覚醒剤を摂取させることは可能だったが、被告人に渡されたものが覚醒剤とは言い切れない。

・野崎さんが覚醒剤を摂取した時間に幅がある。被告人が摂取させたと推認できず。

・第三者の他殺や自殺の可能性は考えられない。

・愛犬が死んだことに落ち込んでいたが、お別れ会などを計画していて自殺の可能性は考えられない。

・野崎さんが誤って覚醒剤を摂取した可能性がないとは言い切れず、被告人の犯行というには合理的疑いが残る。

■「覚醒剤 死亡」等と検索 『殺害を計画していなければあり得ないとまではいえない』

・ネットで「完全犯罪」等と検索しているが、殺害を計画していなければ検索することはありえないとまではいえない。

・「覚醒剤 死亡」などと検索していることは、覚醒剤を注文したことには関連していると考えられるが、『殺害を計画していなければあり得ないとまではいえない』。

・よって検索履歴をもって被告人が野崎さんの殺害を計画したとはいえない。

■「氷砂糖の可能性もあり、覚醒剤に間違いないとは認定できない」

・被告が覚醒剤の可能性があるものを買ったことは認められる。

・氷砂糖の可能性もあり、覚醒剤に間違いないとは認定できない。

※裁判では「覚醒剤の売人」2人が出廷。

1人は2018年4月7日の深夜から8日にかけて、田辺市で女性に覚醒剤を4グラムから5グラム売ったと証言し、検察側は、覚醒剤の売買があった日に須藤被告と売人の通話履歴があることなどから、覚醒剤を買った女性が須藤被告であると指摘していた。

その後、もう1人の「”覚醒剤”を実際に仕入れた売人」が法廷に立ち、田辺市内で女性に売ったのは「氷砂糖」だったと証言した。

■「自殺以外の目的で、覚醒剤を摂取し、致死量を摂取したことを否定できない」

・高齢の野崎さんが、性的関係に覚醒剤を使おうとした考えることはいささか突飛ではあるが、野崎さんは被告人と性的関係を持っていた。

・覚醒剤の摂取で死亡していることから考え、冗談とは言えない。

・野崎さんがなんらかのきっかけで、覚醒剤に興味を持ち入手し、量や状態によっては誤って1.8g以上飲んだことを否定できない。

・自殺以外の目的で、覚醒剤を摂取し、致死量を摂取したことを否定できない。

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