和歌山地裁

 2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家野崎幸助さん=当時(77)=に覚醒剤を摂取させ殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻須藤早貴被告の裁判員裁判で和歌山地裁は12日、無罪判決を言い渡した。求刑は無期懲役だった。

 被告は「私は殺していないし、覚醒剤を摂取させたこともない」と無罪を訴え、弁護側は「野崎さんが自分で飲んだ可能性がある」と主張。裁判では野崎さんが殺害されたかどうかの「事件性」や、殺害されたとすれば被告の犯行かどうかの「犯人性」が争われた。

 検察側は、被告が野崎さんから毎月受け取る100万円や億単位の遺産が目当てで結婚し、完全犯罪を企てたと指摘。事件前に「覚醒剤 過剰摂取」「老人 完全犯罪」などとウェブで検索し、密売人から覚醒剤を入手したと説明した。

 一方被告は被告人質問で「覚醒剤は野崎さんから買ってほしいと頼まれた」と供述。弁護側は、覚醒剤の致死量や具体的な摂取方法について検索した履歴がないなどと主張した。

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