兵庫県の公益通報窓口を所管する財務部は11日、斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを内部告発した元県幹部の男性=7月に死亡=による通報について、調査結果を公表した。強く叱責されたと感じる職員がいたり、物品の贈与と誤解されたりするケースがあったとして、ハラスメント研修の充実や物品受領ルールの明確化などの是正措置を県に要請した。

男性は3月12日に一部の報道機関などに7項目の告発文書を配布。4月4日にほぼ同じ項目を県の公益通報窓口に通報した。告発文書は県人事課が調査を進め、5月7日に「核心部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷にあたる」として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。

公益通報に基づく調査は県財務部が7月ごろまで実施。知事と片山安孝前副知事の聞き取りは「公益通報委員会」座長の西野百合子弁護士が担当した。

これらの調査とは別に、県議会の調査特別委員会(百条委員会)、弁護士で構成する県の第三者委員会が調査を進めており、それぞれ2025年2月ごろと同年3月ごろに結果を公表する見通しだ。

公益通報の調査では「パワハラと認められる事案があったとの確証までは得られなかった」とした。「強く叱責されたと認識する者が確認できた」が、パワハラと認識する人は確認できなかったという。財務部県政改革課の原晃課長は「(パワハラが)あったともなかったとも断定はしていない」と明言を避けた。

贈答品については「知事の意図しない受領につながったケースが確認された」などとした。告発文書のどの部分を指すかなど具体的な言及はなかった。

財務部の要請を受け、県が実施する是正措置は①職員公益通報制度の外部窓口設置②物品受領ルールの明確化③組織マネジメント力向上特別研修の実施――の3項目。

公益通報制度は県内の弁護士事務所に外部通報窓口を設置し、通報しやすい体制をつくるとした。16日から運用を始める。従来は県財務部内のみに通報窓口があった。調査も弁護士などの外部機関に委託できるよう制度要綱を改正する。

物品については、県関係者が無償で借りる際に「無償貸付書」を貸付人から提出してもらう。補助金の交付先など県の利害関係者にあたる場合は、原則として食品や記念品を受領しないよう定めた。

ハラスメント防止策として、研修を拡充することも盛り込んだ。これまで課長級以下の職員が同様の研修を受講していたが、知事と副知事を含む次長級以上の職員も対象とする。ハラスメントに詳しい専門家を講師として呼ぶ。

通常、公益通報の調査結果や是正措置は非公開としているが、一定の重要事項は公表できる規定となっている。今回は県民の関心が高いことからパワハラと贈答品の2項目を公表した。06年度の制度開始以来、調査結果などを公表したのは初めてという。ほかの項目については「通報があったかどうかも含め公表できない」(県政改革課)としている。

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