大阪地検のトップ・検事正を務めていた男が、酒に酔って抵抗できない状態の部下に性的暴行を加えたとし罪に問われている裁判で、元検事正が一転、無罪を主張していることが分かりました。
■女性は声を震わせ…胸の内を語る
女性は声を震わせ胸の内を語った この記事の写真 被害に遭った女性検事「被害を受けてから約6年間、本当にずっと苦しんできましたので、なぜもっと早く罪を認めてくれなかったのか。もっと早く罪を認めてくれていたら、もっと私は早く被害申告できて、また新しい人生を踏み出すことができた」
女性は声を震わせ胸の内を語った。
大阪地検トップの検事正だった北川健太郎被告(65)大阪地検トップの検事正だった北川健太郎被告(65)が酒に酔った部下の女性検事に性的暴行を加えたとし、準強制性交の罪に問われている裁判。事件から6年がたった今年10月、ようやく迎えた初公判で、検察側は次のように述べた。
検察側の冒頭陳述(初公判)「被告は泥酔した被害者をタクシーに押し込んで宿舎に連れて行き、意識のない状態の被害者に性的暴行を加えた。帰らせてほしいと訴えたのに『これでお前も俺の女だ』と言って犯行を続けた」
さらに「表沙汰になれば大阪地検が立ち行かなくなる」と、北川被告は被害女性に口止めをしたと主張。
被害に遭った女性検事 被害に遭った女性検事「私は泥酔してしまった自分を責める気持ちが強く、被害を夫や検察庁の職員に知られて家庭や検事の職を失いたくないと考え、さらに検察幹部として優秀で人望もあるといわれている被告人を辞職させることは、検察組織のためにも避けなければならないと考え、いっそすべてを忘れたいと思い悩むようになりました。私は、これらの旨を被告人に直接またメールで伝えました。私がすべてを忘れたいと言ったことに安堵して『俺の検事人生もこれで終わった』『時効が来るまではちゃんと対応する』『食事をごちそうする』などと軽口を言って、私をさらに傷つけました」
北川被告が退職する前には「そろそろ退職しようと思っている。退職しても訴えないか」と聞かれたという。
大阪地検のトップだった北川被告。女性は、誰にも相談することができなかったという。それでも「同じような被害者を生み出してはならない」と今年に入り被害を申告した。
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■無罪を主張する理由は?■無罪を主張する理由は?
初公判では謝罪の言葉を口に今年10月、初公判で北川被告は「公訴事実を認め争うことはしません」「被害者に深刻な被害を受けたことを深く反省し謝罪したい」と謝罪の言葉を口にしていた。
しかし10日、主張は一転、北川被告側の弁護人は無罪を争う方針であることを明らかにした。
被告の弁護人 中村和洋弁護士 被告の弁護人 中村和洋弁護士「北川健太郎さんに対する準強制性交等事件の裁判について、今後裁判では無罪を争う方針です」
無罪を主張する理由は…。
中村弁護士「Aさん(被害者とされる女性)が抗拒不能であったことについては、合理的な疑いがあると考えます。また北川さんには事件当時、Aさんが抗拒不能であったという認識はなく、またAさんの同意があったと思っていたため、犯罪の故意がありません。したがって無罪ということになります」
当時、北川被告が「争わない」と述べた理由については、こう述べた。
中村弁護士「(当初の主張は)検察庁にこれ以上の迷惑をかけたくない。(初公判後の)検察庁への組織批判により、北川さんは方針が間違っていたのではないかと悩み、自らの記憶と認識に従い(無罪を)主張することにしました」
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■被害に遭った女性検事「長期の実刑判決を求める」■被害に遭った女性検事「長期の実刑判決を求める」
事件からおよそ1年後。被害女性側からの請求に応じ1000万円を支払っていたことも明かした。
被害女性側からの請求に応じ1000万円を支払っていたことも明かした 中村弁護士「いわゆる示談書というものは作られていません。ただ相手方の要求通りの金額を支払ったので、少なくとも民事の請求に関しては、こちらは要求に応じたと。それで一旦話は終わっている。そういうふうに解決したと理解はしていたと聞いております」
初公判での謝罪から突然の無罪主張に転じた北川被告。被害に遭った女性は、次のように話す。
被害に遭った女性検事「私をどこまで愚弄し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう」 被害に遭った女性検事「私をどこまで愚弄(ぐろう)し、なぶり殺しにすれば気が済むのでしょう。検察のトップにいた人が、事件から6年もの間、一度たりとも被害者の苦しみを想像せず、真に罪を償おうと思うことがなかったことは被害者としてとても悲しく、検事としてとても情けないです。被害者を傷付け続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求めます」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年12月11日放送分より)
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