販売前の災害備蓄用の飲料水から、法令の水質基準を超える細菌が検出された問題で、愛知県一宮市は、検出された「一般細菌」が最大で基準値の1800倍だったことを明らかにした。9日の市議会で市議の質問に答え、初めて公表した。

 今回問題となった伏流水を原料にした水は、食品衛生法上のミネラルウォーター類に該当し、「一般細菌」の基準は1ミリリットルあたり100個以下。市によると、市の検査で9本のうち1本が2倍の200個以上だった。その後の民間の検査では、20本のうち8本から最大で1800倍、18万個が検出された。採水の前後には検出されていなかった。

 市は、製造した岐阜県内の会社に原因究明や再製造を求めたが、期限までに回答がなかったため、製造会社を変更した新製品を来月6日から販売すると議会で説明した。

 このほか、朝日新聞の11月初旬の報道を受け、岐阜県の保健所が食品衛生法に基づき、同社への立ち入り検査を実施したことを明かし、市は「問題はなかったと報告を受けている」と述べた。

 ただ、同社関係者は10月下旬の取材時に、検査値は明かさなかったが、「びっくりする値だったが、一宮市以外の製品に問題はなかった」とし、製造過程で生じたものとは考えられないとの認識を示した。この時点ですでに製品を廃棄し、工場内を殺菌したといい、その後に保健所の立ち入り検査はあったものの、原因は不明のままとなった。

 彦坂和子市議(共産党)は「市民の命や健康、水道事業への信頼にかかわる大きな問題として考えるべきだ。市民にしっかり知らせていただきたい」と指摘した。市の安田英樹・上下水道部長は「販売前で法令違反もなく、積極的な情報発信を控えた。水道原水や水道水の安全性の検査結果は公表していきたい」と述べた。

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