酒に酔った部下の女性検事に性的暴行を加えたとして準強制性交罪に問われ、初公判で起訴内容を認めた元大阪地検検事正の弁護士、北川健太郎被告(65)が次回公判で一転して無罪を主張することが10日、分かった。

記者会見する中村弁護士(10日、大阪市内)

大阪地裁で同日開かれた裁判官、検察との非公開協議で主任弁護人の中村和洋弁護士が表明し、終了後の記者会見で明らかにした。「被告に女性が抗拒不能だったとの認識はなかった。犯罪の故意はなく無罪だ」と主張した。

これに対し、被害者の女性は代理人弁護士を通じ「被告人がどのように主張しようが、真実は一つ。司法の正義を信じます。検察トップが犯した重大な罪と、被害者を傷付け続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求める」などとするコメントを出した。11日に大阪市内で会見を開く予定。

被告は6月の逮捕後、「同意があると思っていた」などと容疑を否認。10月25日の初公判では「事実を認め、争いません」と起訴内容を認めた。その後、主任弁護人が中村弁護士に交代。12月10日は第2回公判が開かれる予定だったが、期日が取り消されていた。

中村弁護士はこの日の会見で「客観的な行為があったことは争わない」としたうえで、初公判で起訴内容を認めた理由を「事件関係者を含め検察庁にこれ以上の迷惑をかけたくなかったから」と説明。事件後、女性側の求めに応じて1千万円を支払ったという。

だが女性側から「検察内部から捜査情報が漏えいした」と批判されるなど、かえって検察批判を招いたことから「自らの記憶と認識に従って主張することにした」と述べた。次回公判で改めて無罪を主張するという。

起訴状などによると、被告は検事正在職中の18年9月12日深夜から13日未明、大阪市内にある自身の官舎で、酒に酔い抵抗できない状態の女性に性的暴行を加えたとされる。

被告は1985年、検事任官。那覇地検検事正や最高検監察指導部長などを歴任した。大阪地検検事正を最後に2019年11月に退官後は弁護士として活動し、企業の社外取締役や監査役などを務めていた。

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