ノーベル平和賞の授賞式を前に、記者会見する日本被団協代表委員の田中熙巳さん(9日、オスロ)=共同

【オスロ=桜田優樹】ノーベル平和賞の授賞式に出席する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員、田中熙巳さん(92)は9日午後1時(日本時間同9時)、ノルウェーの首都オスロで記者会見した。授賞式を前に「核兵器は人類と共存できないと、できる限りの力を絞って伝えたい」と話した。

田中さんは「ロシアのウクライナ侵攻では核兵器が威嚇に使われた。核がまた軽く語られる時代になったのは私たちにとって遺憾で、悲しい思いがする」とも言及した。

そのうえで、若い世代に向け「豊かで命が大切にされる社会をつくることができるだろうと確信し、希望を持つことが大事だ。希望がなければ時代に流され、人類は滅亡するかもしれない。皆さんの未来は、皆さんでつくると伝えたい」と話した。

授賞式は10日午後1時(日本時間同9時)から開かれる。演説時間は約20分。約70年にわたる日本被団協の歴史、長崎で被爆した自らの体験などを語るという。式典には代表委員を務める箕牧智之さん(82)、田中重光さん(84)も登壇する。

日本被団協は授賞式に向け、国内外の被爆者、被爆2世ら計30人からなる代表団を結成。8日に現地入りした。授賞式後は晩さん会に出席するほか、現地の高校、大学での被爆証言、地元テレビ局の収録なども予定している。

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