過去に勤務していた中学校内で女子生徒に性的暴行を加え、けがをさせたとして準強姦致傷の罪などに問われた東京都練馬区立中の元校長、北村比左嘉被告(57)の裁判員裁判で、東京地裁は9日、「教師に対する信頼を大きく失墜させた」として懲役9年(求刑同10年)の判決を言い渡した。
細谷泰暢裁判長は、教師と生徒という圧倒的な上下関係を背景にした犯行で「巧妙かつ卑劣」と非難。弁護側は性行為でけがを負ったとの診断書はなく、時効が成立すると主張したが、専門家の法廷証言から傷害を認定し、退けた。
判決言い渡し後、細谷裁判長は「被害者だけでなく、多くの人が学校に不信感を抱いたことに思いを致し、反省を深めて確実に更生してほしい」と裁判員全員の意見として呼びかけた。グレーのスーツ姿の被告は小さな声で「はい」と応じた。
判決によると、勤務先の中学で学年主任をしていた2010年6月、女子生徒に性的暴行をして1週間のけがを負わせた。また、別の女子生徒のわいせつ画像が記録されたデジタルカメラを所持した。
これまでの公判で、性的暴行を受けた女子生徒は今も男性と接することに後ろ向きだと明らかにした上で、「心の傷が癒えることはない。一切許すことができない」と意見陳述していた。〔共同〕
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