師走を迎え2024年も残すところあとわずか。年末に向け何かと慌ただしくなるこの時期に駆け込みの申し込みが増えるのが12月末に期限を迎える「ふるさと納税」だ。
狙うは高級品 しかし一方で異変も
霜降り和牛やタラバガニ、ウナギの蒲焼きなど「ご当地グルメ」を中心とした返礼品が人気を集めているふるさと納税。出身地や応援したい自治体に寄付が出来る制度で、返礼として名産品などが届くほか、所得税、住民税の還付や控除を受けられる仕組みになっている。年収などで異なるが、実質負担2000円で返礼品が受け取れるということで、多くの人が利用している。
この記事の画像(12枚)返礼品のお目当てを街で聞くと「肉です。佐賀牛」(30代男性)、「北海道の正月用の数の子。つい最近、頼んだ」(60代男性)、また20代の若者も「イチゴとホタテ。ホタテは北海道。12月までにやんなきゃと思って先週やった」と普段は買わないちょっと贅沢なものを選ぶ人が多い。
しかし、その一方で「トイレットペーパー。1年くらい買わずにすごく便利」(20代女性)や「今、お米が高いからお米を買おうかな」(50代女性)と生活必需品や日用品をターゲットとした人も増えている。
返礼品ランキング1位は「米」
2024年の「ふるさと納税サイト」でキーワードランキングを調べてみると、3位は「訳あり」、2位は「トイレットペーパー」、そして第1位は「米」だった。物価高や令和の米騒動などを背景に日々の生活や節約を意識した返礼品に人気が集まっているようだ。
総務省によると、全国の自治体に寄付された総額は2023年度1兆1175億円で初めて1兆円を突破。4年連続で過去最高を更新していて今や、6人に1人が「ふるさと納税」を利用している。
ふるさと納税の人気が高まるなか、福岡県警本部の一室では捜査員がパソコンの画面に目を光らせていた。
「これもニセのふるさと納税サイト。これもニセ物ですね」と次々にパソコン画面を切り替える捜査員。ふるさと納税の偽サイトを取り締まる福岡県警のサイバーパトロールだ。
サイト内に並ぶ高額な商品。「特価用品専門店」と題されたサイトで、寄付額のところを見てみると、本来の金額が、線で消され、割引きの金額が赤で記載されている。
横行する「ふるさと納税」偽サイト
寄付額を値引きしているのだ。警察によると寄付額の値引きを強調しているのは、偽サイトの最大の特徴の1つだという。国民生活センターには「商品が届かない」などの相談が相次いでいる。
偽サイト画面の会社概要には、福岡市内の所在地や電話番号も記載されている。記者が番号に電話してみると、ふるさと納税とは全く関係のない福岡市内の飲食店に繋がった。電話に出た飲食店の店長は「ふるさと納税のサイトを見たという電話が次々とかかってきて非常に迷惑している」と憤慨しているようすだった。
さらに会社概要に載っていた住所も飲食店とは別の住所であることが判明した。
実在する店の住所 許可無く掲載
記者が記載されている所在地を訪ねたが、ここでも返答は「ふるさと納税の事業はしていません。商品もうちに一切ないものです」というもので、勝手に名前を使われていることが分かった。
所在地とされていた場所にあったのは、ふるさと納税と全く関係のない会社で、サイトを見た人からの電話が相次いでいて、警察にも相談しているという。
実在する会社や店の住所、連絡先を許可無く掲載し、あらゆる方面に迷惑をかけている偽サイト。福岡県警サイバー犯罪対策課の的野史孝次席は「ふるさと納税のサイトで、割引とか、期間限定の宣伝をしていることはありませんので、返礼品の名前で検索すると当然公式な品物もあるが、偽サイトも混ざってきて、慣れていない人だと価格の比較で、より安いほうに誘導される特徴がある」と警鐘を鳴らす。
ふるさと納税の人気が高まるなかで巧妙化する偽サイト。警察は、正式なポータルサイトや自治体のサイトなどを利用するよう注意を呼びかけている。
(テレビ西日本)
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