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 男性の勃起不全(ED)の治療薬をめぐって、医師からの処方箋なしに購入できるようにした際の効果について、厚生労働省が意見募集を始めた。薬局やドラッグストアで購入可能になれば、人に言えず悩んでいた男性に朗報となるが、「なぜ緊急避妊薬よりも先なのか」との批判も出ている。

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 緊急避妊薬は処方箋が必要で、現在のところ一部薬局での試験販売にとどまっている。厚労省は「ED治療薬の市販化の議論を優先するわけではない」としているが、なぜ「緊急避妊薬は後回し」に感じられるのか。『ABEMA Prime』では、Xで不満を訴えた助産師とともに考えた。

■ED治療薬の市販化、なぜ必要?

 厚労省は11月25日から12月24日にかけて、ED治療薬「タダラフィル」など3成分について処方箋なしで販売した際の効用・効果、ニーズ等の意見募集を行っている。今後、意見をもとに検討会議で議論される予定だ。

 ED治療薬の市販化を検討する理由として、厚労省は、社会に「EDであることは男性として不完全・障害・恥」という認知があり、患者の自尊心が大きく低下している点や、パートナーとの関係性の悪化につながるリスクを挙げる。また、EDは受診への心理的ハードルが高く、未治療か個人輸入サイトなどでの購入も多いことから、偽造薬などによる健康被害リスクも指摘する。

 ED治療薬としては、「バイアグラ」などのシルデナフィルが知られているが、なぜタダラフィルが検討されているのか。新宿ウエストクリニックの入江武志医師は、検討会議で取り上げられる理由はわからないとしつつ、ED治療薬の中では副作用が少ないと説明する。バイアグラには頭痛や視覚異常などの副作用がある。タダラフィルにも副作用はあるが、網膜に対する影響はバイアグラの1割以下という研究もあるという。

 「インパルス」堤下敦は、「EDの後輩に聞くと、やはり病院に行くのは恥ずかしいらしいが、周囲もED患者ばかりで、逆に共感できるという。ただ、医師からいろんな事を聞かれて、見られるなど、男性としては恥ずかしいと言っていた」と語る。

 SBテクノロジーに勤め、警視庁サイバーセキュリティアドバイザーでもある辻伸弘氏は、「音声だけでいけるオンライン治療もあり、恥ずかしさは結構クリアになっている」としつつ、「なぜ『女性だけが優先されていない』と感じるか疑問だ」と持論を述べた。

■72時間以内に飲まないと…緊急避妊薬の市販化、なぜ進まない?

 緊急避妊薬の薬局販売は、2017年に厚労省で検討されたが、性教育状況等から見送られた。2021年から厚労省で議論開始され、パブリックコメントを募集したところ、4万6000件超の意見が寄せられ、賛成は9割超となった。2023年11月から全国145薬局で試験販売開始したが、「データ確保不十分」と試験は継続され、今秋には約340店に拡大している。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「緊急避妊薬は時間がタイトだ。土日を挟んで、2〜3日後になると怖い。もし妊娠して育てられないとなった時、手術を受けるのは心身の負担になる」と市販化の重要性を訴える。

 TikTokerの岸谷蘭丸氏は、「友達の付き添いで、病院に緊急避妊薬を買いに行ったことがある」という。「焦って『どうしよう』となる場面をよく見る。絶対に買えた方がいい。『性に奔放になる』と言われるが、奔放になる人はなるし、ならない人はならない」。

 また、男性の立場から見ると「女性であることに対するコストが高い」として、「生理用品を買う必要があり、低用量ピルを飲んでいる子も多い。メイク道具にもコストがかかっている中で、『なんでED治療薬ばっかり』『おじさんが決めている』と不満がある」と考察する。

 助産師で思春期保健相談士の田中まゆ氏は「10000歩譲っても、緊急避妊薬も同時にOTC(薬局販売)化でしょう」とXで投稿。「緊急性が高く、人生を左右する問題で、ED治療薬よりもリスクが低い緊急避妊薬よりも優先される理由が全くわからない」とポストした。

 来年3月までとされる試験販売について、田中氏は「元々は今年の3月までだった。不十分とされるデータを、あと何件積めばいいか明確でない。先延ばしされた経緯を踏まえると、3月になるまでわからない」との見通しを示す。

 緊急避妊薬の市販化が進まない背景には、「『性に奔放になる』や『安易な使用や悪用が増える』など懸念」があるとしつつ、「本当に必要な人を横に置いている印象がある」と批判する。

 パブリックコメントに際して出された、ED治療薬の説明資料を読んだところ、「緊急避妊薬と同様の懸念事項に対して、回答が書かれていた」という。「『男女とも性生活が充実する』などと書いてあったが、それは緊急避妊薬も一緒だ。『薬剤師からアドバイスを受けられる』とも書いてあったが、緊急避妊薬も医療機関につなげたり、背後にある暴力や犯罪をフォローできたりする。それが答えになっているのではとの印象を受けた」。
(『ABEMA Prime』より)

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