被爆者の立場から核兵器の廃絶などを訴えてきた日本被団協は、ノルウェーの首都オスロで行われるノーベル平和賞の授賞式に出席します。

8日朝、羽田空港には、代表委員の田中煕巳さん(92)、田中重光さん(84)、箕牧智之さん(82)の3人や、各地の被爆者などおよそ30人が集まりました。

授賞式では13歳のときに長崎で被爆した田中煕巳さんが演説を行い、伯母など5人の親族を亡くした自身の体験などをもとに、被爆の実相や核兵器の非人道性を訴えることにしています。

田中さんは「これまで被爆者が行ってきた活動をさらに続けていくためには、世界の支持も必要になる。日本被団協を、改めて世界の多くの人々に知ってもらう機会にしたい」と述べました。

代表団は日本時間の9日早朝にオスロに到着し、10日の授賞式に出席したあと、12日まで現地に滞在します。

期間中はそれぞれの被爆者が各国メディアの取材に応じたり、地元の学校で自身の被爆体験を証言したりする予定で、核の脅威が高まるなか、核兵器の廃絶などを世界に訴えることにしています。

日本のノーベル平和賞受賞は、非核三原則を表明した佐藤栄作 元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶり2度目です。

田中重光代表委員「原爆が何をもたらしたか 世界に広げたい」

長崎で被爆した田中重光代表委員は「79年前、原爆が人間に何をもたらしたかということを世界に広げたい。核兵器の廃絶というのは、人類共通の課題だと思っています。一人一人が考え、そして私たちの行動を支持してもらって、参加していただく、このことが大変重要なことだと思います。ノルウェーの人たちが、どう考えていらっしゃるかということを聞いて、また日本に帰ってきて、運動を広げていきたい」と話していました。

箕牧智之代表委員「責任の重さを感じる」

広島で被爆した箕牧智之代表委員は「非常に責任の重さを感じています。無念の思いの中亡くなられた広島の被爆者の皆さんに代わって、訴える機会があればと思っています。79年前の出来事は、私たち被爆者たちはもちろん、広島人は永遠に忘れてはいけない。これからも行政、被爆者、市民が代々引き継いでいくべき大きな課題だと思っています。オスロでの雰囲気がどんなものかを感じて、帰国したいです」と話していました。

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