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 スーパーに丸2日、居座ったクマが捕獲されました。今年は山の餌(えさ)が豊富と言われるなか、なぜ市街地に現れたのか。専門家に聞きました。

■クマ捕獲!防犯カメラが捉えた一部始終

スーパーに居座ったクマが捕獲 この記事の写真

 クマがスーパーの従業員を襲ってからおよそ55時間後、事態は動きます。スーパーに居座っていたクマが3日目にようやく捕獲され、運び出されます。

スーパーマーケット「いとく土崎みなと店」

 2日午前8時すぎ、スーパー内に設置した箱罠に体長およそ1メートルの成獣のクマがかかっているのを警察官が確認しました。

近隣住民 
「初めて。びっくりした。やっぱり怖い。何回か買い物に来ていたから」 近隣住民 
「山から離れた場所でクマがいるのは、子どもを連れている身としてはとても心配」

 現場は秋田駅からおよそ8キロ離れた市街地にあります。住宅が密集する地域のスーパーマーケット「いとく土崎みなと店」です。スーパーにほど近い歴史伝承館の防犯カメラには、クマの姿が映っていました。

防犯カメラが捉えた一部始終

 画面右側の駐車場からクマが走っているのが確認できます。撮影されたのは、スーパーの店内でクマが確認された前日の夜。同一のクマかは分かっていません。

 現場周辺では、先月下旬からクマの目撃情報が相次いでいました。

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■従業員襲撃から捕獲まで 猟友会に聞く

■従業員襲撃から捕獲まで 猟友会に聞く

猟友会に聞く

 スーパーの中では何が起きていたのでしょうか。箱罠の設置に携わったみなと猟友会・伊川武志会長が2日、番組の取材に応じました。

伊川会長 
「クマはずっと奥のほうに。総菜とか奥のほうにあるから、そこの部門に入っていろいろ食材があるみたいだから」 スーパー内の様子

 クマが最初に発見されたのは30日午前6時20分ごろ、開店準備をしていた47歳の男性がクマに襲われ、頭から血を流しているのを別の従業員が見つけます。

総菜売り場近く

 この時、クマは男性のおよそ2メートル先にある総菜売り場の近くにいたのを従業員が確認しています。警察などによりますと、肉や果物が食べられた形跡があったといいます。

 1日夕方、警察官がバックヤードにクマがいるのを確認。バックヤードを封鎖して、出入口に2カ所に箱罠を設置しました。伊川会長によりますと、箱罠にはコメぬかやバナナ、ハチミツなどを仕掛けたといいます。

伊川会長 
「奥のほうに足を踏み入れれば、扉が閉まる仕掛け。奥のほうに餌を並べて」

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■クマはなぜ市街地へ? 専門家に聞く

■クマはなぜ市街地へ? 専門家に聞く

岩手県の商業施設でも

 人が集まる施設にクマが侵入するケースが相次いでいます。今年1月には、岩手県の商業施設に子グマが入り込み、捕獲されています。

岩手大学農学部 山内貴義准教授

 岩手大学農学部の山内貴義准教授は、今年ならではの理由を指摘します。

山内准教授 
「今年に関しては山の実りが良いので、餌がなくて来たわけではない」

 餌が豊富なのに、なぜ市街地にクマが現れるのでしょうか。

山内准教授 
「前の年の餌の不足によって、かなりの数のクマが人里寄り、市街地寄りに行動をシフト。自分たちの餌となるようなものを食べていて学習してしまった個体が相当数いて、出没が多くなっている原因につながっているのでは」 人間の食べ物に執着

 人間の食べ物に執着するクマ。その生態が分かる映像です。アメリカの住宅に侵入すると、前足で器用に冷蔵庫を開けます。食べ物を口でくわえると、窓の隙間から去っていきました。

山内准教授 
「精肉として売り出している肉をおそらく今回食べたということだが、そういった状態の肉でも大好きだと思うので、第一選択肢として食べたのかと感じる。今後、市街地に出てくると人間の物に手を出してくる。店にある製品にも手を出してくる可能性は十分考えられる」 この記事の写真を見る
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