「マイナ保険証」を基本とする体制に移行し、医療機関に掲示されたマイナカードの利用を促す厚労省のポスター=2日午後、東京都新宿区

 従来型の健康保険証の新規発行が停止された2日、各地の医療機関では「マイナ保険証」を使って受診する患者の姿はまばらだった。「情報が漏えいしないか心配」「紙の健康保険証を持ち歩かずに済む」。患者の間では、プライバシー保護への不安と、デジタル化に対する期待が交錯した。  福岡市博多区の「千代診療所」では、従来型を使う患者がほとんどだった。市内の女性(70)は「マイナンバーにひも付けされると、個人情報が漏れそうで怖いので、マイナ保険証を利用していない」と語った。  東京都新宿区で内科などを担う「ナビタスクリニック新宿」では、埼玉県越谷市の会社員友常敦貴さん(35)が初めてマイナ保険証を利用し「スムーズに顔認証ができた」とほっとした様子。  一方、高齢者施設からは戸惑いの声も。宮城県松島町の「松島長松苑」では、入所者からマイナ保険証を預からない運用にしている。税や年金など多くの情報が結び付いており、紛失時のリスクがあるためだ。東浩施設長は「安全に管理する体制を整えるには課題が多い」と訴えた。

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