2024年夏に開かれたインターハイ競泳で、登録していない選手を出場させて失格処分を受けたとして、顧問の40代の男性教師が減給3カ月の懲戒処分を受けた。男性教師は大会前日に不正行為に気付いていたものの、「生徒には伝えられなかった」として、そのまま登録していない選手を出場させていた。生徒の努力を無駄にさせないための注意が必要な一方で、授業だけでなく部活動に従事する顧問についての負担軽減策も検討が必要だ。
インターハイで不正行為 40代の男性教師を“減給処分”に
新潟県教育委員会は11月26日、中越地方の高校の40代の男性教師が部活動のインターハイで、登録されていない生徒を出場させて失格処分を受けるなどの不正行為を行ったとして、男性教師に対し、減給3カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。
この記事の画像(4枚)県教委によると、男性教師は2024年8月、インターハイの競泳で登録されていない生徒を出場させ、その結果、チームは失格に。
また、男性教師は「他の人から報告が入っていると思っていたので、自分では報告しなくていいと思っていた」として、失格されたことを学校側に伝えていなかったという。
不正行為が発覚したのは、競技終了後に見ていた人からの大会本部への指摘だった。
「違う生徒が出ている」こう指摘を受けた大会本部が事実確認を行った結果、不正行為の確認がとれたことから、チームは失格処分が言い渡され、これにより部活動の3年生は最後の大会を“失格”で引退することになってしまった。
「出すぞ」と言った選手に「やっぱり出られない」と伝えられず
失格を言い渡されてから1週間後に、大会本部から学校側に報告があったことで学校側はこの失格行為を認知。
すぐに県教育委員会に報告するとともに、男性教師に聞き取りなどを行うと、不正行為を働いた理由が明らかとなった。
県教委の聞き取り調査によると、新型コロナウイルスが流行していた当時、大会本部は急な感染による影響などを考慮し、登録選手の変更なども柔軟に受け入れていて、男性教師は新型コロナの流行が収まっていた今年の大会でも「あとで調整ができる」と誤って認識。
そして、競技前日、男性教師は登録していない選手に対し、「あしたの競技に出るぞ」と話し、競技に向けて準備をするよう指示を出したという。
しかし、その指示を出したあと、大会本部とのやりとりの中で「登録していた選手と登録していない選手を変更できないこと」に気付いた男性教師。
なぜ、不正に気付きつつも登録していない生徒をそのまま出場させたのか、県教委の調査に対し、男性教師は「自分のミス、認識の誤りで『出すぞ』と言った選手に『やっぱり出られない』とは伝えられなかった」と話したという。
そして、今回の不正行為については「自分の行った不正行為の重大性、悪質性を理解し、反省している」と話している。
顧問が“外部講師”であった場合も処分は同様
中学校での部活動の指導者においては、これまで教師が担ってきた一方で、教師の働き方改革の一環で、近年はこの部活動の休日の指導を地域のクラブ・団体などに移行する“部活動の地域移行”の取り組みが進んでいる。
しかし、高校の部活動における地域移行について、国のガイドラインでは「義務教育修了後に多様な教育活動が行われている状況を踏まえつつ、学校等の実情に応じて学校部活動の改革に取り組むことが望ましい。私立学校については、国公立学校におけるこれらの取り組みも参考にしつつ、学校等の実情に応じて適切な指導体制の構築に取り組むことが望ましい」と明記されていて、その対応は各高校に委ねられている。
では、今回減給の懲戒処分を受けた男性教師が仮に外部指導員だった場合の処分はどうなるのか、県教育委員会に取材すると、「外部講師などを取り入れる場合には、その外部指導員は公費で任用する“部活動指導員”となり、県の会計年度任用職員に該当するため、一般の教師と同様の処分を下すことになる。しかし、公費で任用せず学校独自で雇っている場合には、教育委員会が処分を下せる立場にないため、処分はできない」と回答している。
通常の授業に加えて、部活動の顧問をすることを“負担”と考える教師も少なくない。
生徒の努力を無駄にすることがないよう注意することはもちろん必要だが、放課後や休日も稼働している顧問への手当や対応について考え直すことも重要だと言えそうだ。
(NST新潟総合テレビ)
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