能登半島地震から11カ月となった1日、石川県の被災地では、住民が冬の寒さや雪への不安を漏らした。地震発生時刻には、犠牲者を悼む姿も見られた。
地震と9月の豪雨で被災した輪島市町野町では雨で冷え込む中、県内の大学生が炊き出しをした。地震で自宅が傾いたという女性(82)は「多くの家が被害を受けた。重い雪に耐えられるだろうか。電柱も倒れそうで停電が心配だ」と不安をにじませた。
町野町では毎月1日、キャンドルを並べ、地震が起きた午後4時10分に住民らが犠牲者へ黙とうをささげている。亡くなった夫を悼んだ女性(82)は「朝起きると、いつも寂しい気持ちになる」と口にした。
大規模火災が発生した輪島朝市の事業者らは、輪島市内の商業施設に仮店舗を出している。雑貨店代表はアルバイトで生計を立て、10月末にようやく出店した。「長かった。いつになるか分からないが、朝市で再建して能登に恩返しをしたい」
七尾市の一本杉通り商店街は、地震で多くの店舗が損壊。東日本大震災で被災した宮城県南三陸町などの支援を受け、2月から月1回開催してきた「復興マルシェ」が、この日をもって定期開催を終えた。初回から参加してきた漆器店の女将は「マルシェ出店を励みに頑張ることができた。先のことは見据えられないが、来年は店舗再建に向け走りたい」と力を込めた。
阪神大震災の記憶継承に取り組むNPO法人の設立者で俳優の堀内正美さん(74)も駆けつけ「商売の人たちが笑顔でいることで町が元気になり、復興につながる」とエールを送った。
金沢市では犠牲者を悼む法要が開かれ、能登地方の僧侶らが手を合わせた。珠洲市で全壊した翠雲寺の岩尾照尚住職は「被災された人々の安寧を願いたい」と語った。
地震による死者は463人で、うち災害関連死は新潟、富山両県の6人を含め235人に上る。石川県では関連死12人の認定も決まっており、死者の累計は475人となる見通し。豪雨では石川県で15人が亡くなった。〔共同〕
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