県民に謝罪する代田浩之学長(中)ら順天堂大幹部=県庁で
埼玉県がさいたま市の浦和美園地区に誘致し、新設予定だった順天堂大付属病院について、大学側が29日、建設費高騰などを理由に計画を中止すると県に伝えた。2015年の計画決定以来、約10年間にわたって開院時期の延期や計画変更を繰り返した末の白紙撤回。大野元裕知事は「大変遺憾」と憤った。(杉浦正至、藤原哲也) 新病院は医師不足の解消を目的に県が公募し、15年に順大の計画が承認された。病床数は800床で県内有数の規模。7月末、建設費が大きく膨らみ、開院が20カ月遅れるとの見通しを順大が県に伝えた。県は12月2日までに計画変更の申請書を提出するよう求めていた。◆総事業費は当初の2.6倍に膨張「到底困難」
順大の説明によると、建築費や資材費の高騰で、総事業費は15年当時の総定額834億円の2.6倍となる2186億円に膨張。コロナ禍以降の経営環境の厳しさを踏まえ、「最先端医療機器を備え、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した未来型基幹病院の開設は到底困難」と判断したという。 順大は27日の理事会で中止を決定。代田(だいだ)浩之学長、天野篤理事らが県庁を訪れ、大野知事に報告した。代田学長は取材に「県民の皆さまにご期待をいただいたが、残念ながら断念することにな...残り 535/1070 文字
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