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「あと1キロ落とせばシンデレラ体重!!つらいけど我慢」

【映像】16〜23歳の女性が選んだ「理想の体型」(イラスト比較)

 ファッションモデルのようなスレンダーな体形を求める女性たちの“理想的な体重”として話題の「シンデレラ体重」のBMI(Body Mass Index)は「18」。

 20代女性の平均的な身長である158センチの場合、約45キロとなる。同じ身長で「健康的な体重」とされる約55キロとは10キロのギャップがある。

 そのため、SNSには「モデル体形には憧れるけど栄養失調で『シンデレラ』どころか『死んでるわ』」などの声も。

 ヨーロッパでは7年前、ルイ・ヴィトンやグッチなどを傘下に持つ大手ファッション企業2社が痩せすぎたモデルの起用を禁止している。細すぎるモデルの体型が、拒食症などを助長させているとの批判が上がっていたためだ。

 日本でも一部の女優やモデルが、行き過ぎたダイエットによる健康被害を公表するなど、健康の大切さを訴える動きも出ているが、「痩せなければ美しくない」と考える女性はまだまだ多い。

痩せているのに「私は太ってる」

 若い女性を対象に行った調査で、痩せている女性のおよそ2割と標準体重の女性の半数以上が自分のことを「太っている」と思っており、また、標準体重以下の女性の半数以上がダイエットなどやせるための行動をしているということがわかっている。

 厚生労働省が25日に発表した「国民健康・栄養調査」によると、20代〜30代の女性の「痩せ」の割合は20.2%(健康日本21〈第3次〉の目標は15%)。特別サイトでは「痩せ」がいかに健康に悪影響を及ぼすか注意を呼びかけている。


痩せている方が糖尿病になりやすい?

 痩せによる影響には、月経異常、無月経、不妊、低体重児の出産、骨粗しょう症、糖尿病のリスクなどがある。

 上記の「糖尿病」は肥満によるリスクのイメージがあるが、この点について、医学博士で若年女性の痩せ問題を研究している順天堂大学国際教養学部教授の田村好史氏は以下のように説明した。

「日本ではあまり知られていないが、日本人では肥満だけではなくむしろ痩せている人の方が糖尿病になりやすいというデータがある。20代の痩せた女性を100名ほど集めてテストしたところ、標準体重の人よりも痩せている人の方が7倍ほど血糖値が高い人が多いことがわかった。背景を調べてみると『食べる量が少ない』『運動量が少ない』『筋肉量が少ない』という“エネルギー低回転”のタイプのリスクが見えてきた。『痩せていること自体』ではなく、生活習慣としてあまり食べない、あまり動かないことで筋肉が細くなって血糖値が上がりやすくなっていると考えている。どのような体型であっても食べて動くことは大事で、筋肉もつくし、代謝も良くなり、骨も強くなる」


「メタボ」の“逆”の言葉を作る

 日本人はなぜこれほどまでに“痩せ願望”が強いのか? この点について田村氏は「70年代は痩せている女性の割合はそこまで高くなかったが、80年代頃からダイエットブームが起こり、今の親世代が『痩せた方がいい』と刷り込まれた。そのため親は悪気なく子どもに『ちょっと痩せた方がいいよ』『スリムでいいね』などと言ってしまい、それがまた連鎖する。これは難しい問題で、テレビや動画を見ることでもそうしたメッセージを無意識に受け取ってしまうのだ」と分析した。

 ではどうすればいいのか?

 田村氏は教育・定義化・メディアという3点を強調した。

「小学1年生でも痩せたいと思っている子がいる。痩せに関する大量の情報をどう受け流すか、という教育が必要だ」

 さらには「言葉で定義する重要性」について、次のように語った。

「以前から痩せのリスクに警鐘を鳴らしているが、一向に減らないのは『危険だ』という明確な定義があまりされなかったからだ。例えば『メタボ』という言葉を通して『太ると危ない』と多くの人が知っているが、痩せる危険性に対する言葉はまだない。これを解決すべく、日本肥満学会でそういう言葉を作るためのワーキンググループが立ち上がって活動を開始している。もしかすると来年や再来年頃にそういった言葉が健康診断などでも聞かれるようになるかもしれない」

 最後に田村氏は「『痩せるのは危ない』とリスクを伝えるだけでは通じない点もある」として、メディアの責任について述べた。

「ダイエット産業は非常に大きいが、どこかで立ち止まる必要がある。痩せる以外にも、自分の良いところや輝いているところなど、“新しい美の概念”のようなものをみんなで考えて社会的に提案して周知する必要があるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)

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