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 将棋の第37期竜王戦七番勝負第5局が11月27・28の両日に和歌山市の「和歌山城ホール」で指され、藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者の佐々木勇気八段(30)に91手で勝利した。この勝利で、藤井竜王は防衛4連覇に大きく前進。“藤井曲線”を描く快勝となった一局に、解説棋士は「王者の戦い方だった」と称賛のコメントを送っていた。

【映像】解説棋士を驚かせた“最強の受け”の一手

 両者2勝2敗で迎えた第5局・和歌山対局。本局の勝者はタイトルに“王手”をかけるとあり、天王山の一局と目されていた。佐々木八段は「後手番で初めて雁木を採用した」という変化球で臨んだものの、中盤の段階でわずかなミスが生じ、藤井竜王が主導権を握ることとなった。

 2日目の再開後からは、優位に立った藤井竜王がリードを拡大。佐々木八段の攻め、藤井竜王は受けに回って着実に力を溜めると、一気に激戦へと突入した。藤井竜王は持ち歩の多さに対し、佐々木八段の馬と、どちらが価値が高いのかという勝負に。先手の玉頭で激しい攻防が繰り広げられる中で、藤井竜王は“最強の受けの手”を披露することとなった。

 佐々木八段の積極的な銀の踏み込みに対し、藤井竜王は後手の馬を引き付ける歩の一着。これには、ABEMAに出演した戸辺誠七段(38)は「私はこの一手を見て、30分くらい固まってしまった」とコメント。「深い読みに裏付けされら強い手だったと思う。馬が近づいてきてしまうので、危ない。ただ、別の選択肢を選んでいたら飛車を取られてしまうリスクもある。そのため、“あえて引き付ける”という最強の受けの手で斬り合いしに行った」とし、藤井竜王の構想力に驚きを隠せない様子だった。

 ここからはっきりと優勢になった藤井竜王は、華麗に相手の飛車をさばいて勝利へと一直線。佐々木八段の「攻めるにしても守るにしても、歩が足りなかった」というコメントの通り、歩得を生かしてポイントを積み重ねた藤井竜王の快勝となった。

 同じく中継で解説を務めた久保利明九段(49)は「先手番ということもあり、自然な指し手を重ねて優勢を築き、そのまま勝ちきるという王者の戦い方だったと思う」とコメント。堂々たる竜王の将棋を称えていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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