国税庁は28日、2023事務年度(23年6月までの1年間)の法人への追徴税額が10年度以降で最多の3572億円だったと発表した。中小法人の税務調査では前年度から本格導入したAI(人工知能)を活用した追徴が8割を占めた。
全体の追徴税額の内訳は、法人税が2102億円(前年度比12.5%増)、消費税が1095億円(同19.3%減)、源泉所得税が375億円(同10.9%増)だった。
同庁は22年度から、全国の税務署が所管する資本金1億円未満の中小法人を対象に、税務調査を実施するかどうかの判断でAIを活用している。過去の申告書や調査で得た資料などをデータベースに蓄積。機械学習を行ったAIが申告書を分析し「申告漏れの可能性が高い納税者」を判定し、参考とする。
国税庁のまとめによると、23年度にAIが判定した対象からの法人・消費税の追徴税額は計1665億円で、前年度から193億円増えた。中小法人全体に占める割合も約9ポイント上昇して78.9%だった。
同庁担当者は「学習させる資料を増やすなどして、AIはより的確に調査の必要性を判定できるようになっている」と話す。職員の経験や勘が必要となる複雑な事案に人手を割くことができる効果も期待しているという。「今後もデータの蓄積を重ねてAIの改善を進め、業務を効率化して公平な課税の実現につなげたい」とした。
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