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 先日、「メルカリで窃盗にあった」とのX投稿が話題になった。メルカリで新品・未開封のプラモデルを出品したところ、購入者から「パーツの破損があった」と返品。その際に着払いで戻ってきたプラモデルは、開封され、中身が抜き取られていたという。

【映像】“メルカリマスター”による、年間1000万売り上げるコツ

 メルカリ事務局に被害を訴えるも、購入者の「入れ間違いはない」との主張が通り、そのままキャンセル処理されてしまった。出品者が「購入者にお金は戻り、私にはゴミだけが残った」と嘆くと、同様の「返品詐欺」を訴える声が相次ぎ、メルカリも対応策に乗り出した。『ABEMA Prime』では、メルカリのヘビーユーザーとともに、プラットフォームの責任について考えた。

■売上は年間1000万円!“メルカリマスター”生活

 メルカリユーザーのゆきんこ氏は、本業は会社員で、すき間時間にメルカリをしている。古物商許可も取得し、年間1000万円ほどの売り上げがある。フリマやリサイクルショップなどで仕入れ、高く売れそうなものをチョイスしているという。「会社に勤めながら不用品販売を始めて、のめりこんで拡大していった。利益率は40パーセントほどで、年間約400万円が残る」。

 ゆきんこ氏も、返品詐欺の被害経験がある。出品したワイヤレスイヤホンの返品対応時に、返ってきたのは「中身が安い別のもの」だった。発送時にシリアル番号を写真に撮っていたため、メルカリの補償対象になって返金されるも、中身は戻らなかった。「購入者から『偽物だ』と言われ、返品を受け付けたら偽物にすり替えられていた。正規品に書かれている個体番号がなく、メルカリ事務局に連絡した」。他にも、PCの中身が全部抜き取られて返品されるなどの経験があるそうだ。

 返品詐欺の背景として、「今までメルカリは、購入者に手厚い補償をしていた。商品に臭いや傷などがあれば、事務局は『いったん返品して、出品者は戻った商品をまた売って』とするのが一般的だった。しかし、それを悪用する人が増えてしまった」と説明する。

 現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、取引時に不快な思いをしたことがあるという。「カメラレンズを約20万円で売ったが、購入者から『動かない』と言われた。高額なので動作確認を撮影していて、、その動画をアップロードサイトに入れてURLを送って…とやっていたら、途中からメルカリの運営に『こっちで引き取るから大丈夫』と言われた。手厚いことをやってくれると好印象を持っている」。

■メルカリが強化した施策「根本解決にならないが、一歩前進」

 メルカリは、出品者が出品し、購入者が購入・支払いをおこなうと、出品者から商品が購入者に配送される。そして、購入者は受け取り評価を行い、出品者に売上金と評価が返ってくる仕組みになっている。

 百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏は、プラットフォームビジネス(特にフリマ)には、一定数の詐欺師がいる前提のもと、「購入者に有利な設計」がされていると説明する。隠語を使い詐欺まがいの出品を行うなど、悪意ある人に有利な脆弱性が存在する。また、買い手側が詐欺しやすい構造もあり、サポートが買い手側寄りで、“返品詐欺”が可能な実態もある。

 アメリカには「プラットフォームビジネスの憲法」のような、通信品位法第230条があるという。「プラットフォームは誤情報や詐欺投稿の責任を負わない、と決められている。大きく育てるための前提として、この法律が存在する」。

 しかしながら、治安の悪いプラットフォームは、利用者から敬遠されてしまう。「運営者はクリーンになるよう努力しないと大きくなれず、バランスが重要だ。メルカリも努力しているが、一定数の詐欺師がいて、防ぎようがなく問題が起きる」と解説する。

 今回メルカリが強化した施策は、大きく3点ある。まずは「お客さまサポートの体制の強化」で、商品回収センターの新規開設により、すり替え・模倣品などの商品回収、商品画像・説明などと商品実物の照合・調査を行う。次に「お客さまへの補償の拡大」では、商品実物の回収・目視確認の実施や、不正な補償受け取りなどに対応する。そして「不正利用者の排除」として、関係当局や警察などとの連携強化や、不正行為を検知するためのAIシステムなどの構築を掲げている。

 しかし、ゆきんこ氏と鈴木氏は、今回の対策を「根本解決にならない」と指摘する。ゆきんこ氏は、「場を提供するだけで関与しない」ではなく、そもそも一括管理システムを構築すべきだと考えている。鈴木氏も「介入する方向に舵を切ったのは大きな変化だが、トラブル時だけ『確認する』と言っているだけで、まだまだ対応策が足りなさすぎる」と語る。

 とはいっても、ゆきんこ氏が「既存ユーザーからしてみると一歩前進だ」、鈴木氏が「出品者がだまされる流行が出てきて、対応するというのは一歩前進だ」と言うように、従来よりも出品者保護は強まっている。

■「9割9分9厘のユーザーは(メルカリを)安心して使っている」

 てぃ先生は「結局、信頼度の話ではないか」といい、「メルカリに対しての信頼があるから、高価なものを売ろうと思った。これが“出会い系サイトで出会った男女”のストーカー行為や金銭トラブルなら、『自己責任だ』と言われるだろう」との見方を示した。

 ゆきんこ氏は、出品側の自己防衛策として、発送前に必ず美品度合いがわかるように商品全体とシリアル番号の撮影を徹底している。また、サポートの初期対応はAIチャットボットのため、、出品者が悪く見えないような「言い回し」を心掛けるなどの方法をとっているという。

 これらの策を講じる理由として、「発送前と梱包状態の写真を撮り、『この状態で発送した』と客観的な証拠がないと判断できない。20〜30万円の高額商品を販売しても、仮に発送中での故障が確認されれば、メルカリ事務局が全額補償してくれる」と説明する。

 プラットフォーム側のさらなる改善策として、ゆきんこ氏は「一企業にできるサポートには限界がある。私のようにメルカリを楽しむユーザーがサポート業務を支えて、ポイントを進呈する仕組みはどうか」と提案。

 また、「クレームを言う人は、商品への不満もあるが、自分の話を聞いてほしい人が多い」という。「これまでメルカリはテンプレ回答で返してきたため、反感を生みやすかった。AIでの対応には人間性がないため、不満がたまるユーザーが多い」と説明し、最後に「9割9分9厘のユーザーは(メルカリを)安心して使っている」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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