10年前に逮捕された事件をX(旧ツイッター)で投稿されたままにされているのはプライバシーの侵害だとして、元自治体職員の男性がXの運営会社に投稿の削除を求めた訴訟の判決が26日、福岡地裁であった。溝渕章展裁判官は、事件を公表されない男性の法的利益が、一般に閲覧され続ける理由を上回ると認め、投稿の削除を命じた。
男性は、九州地方の自治体職員だった2014年夏、女子高校生にみだらな行為をした疑いで逮捕された。判決によると、旧ツイッターでは14年8月、男性の実名や年齢、逮捕されたことなどがブログ記事のリンク付きで15件投稿された。
判決は、事件が公務員の犯罪で、投稿時は公共の利害に関する事実だったことは否定できないと指摘。ただ、男性は14年9月に不起訴処分となり、10年を経て公訴時効も過ぎていることや、すでにツイートのリンク先が消えていること、男性が公務員を辞めていることなどを踏まえ、「(事件について)公表されない法的利益が、ツイートを閲覧に供し続ける理由よりも優越する」と結論づけた。
最高裁は22年6月、10年前の逮捕歴についてのツイートの削除を求めた別の訴訟で、原告の被害の程度や社会的地位、投稿の目的、投稿時からの社会状況の変化などを比較して判断すべきだと判示している。(上月英興)
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