ネオジム磁石で鉄球を持ち上げて、磁石の強さを示す佐川眞人さん=名古屋市南区の大同特殊鋼星崎工場で
世界最強のネオジム磁石をはじめとする「永久磁石」は、自動車や家電製品、医療機器などさまざまな分野で利用され、社会を支えています。大同特殊鋼の佐川眞人顧問が開発したネオジム磁石は強い磁力を生かしてモーターの高効率化を実現し、省エネルギーに大きく貢献しています。永久磁石の開発の歩みをひもとくと、多くの日本人研究者が大きな功績を残してきました。その系譜は今に引き継がれ、最強を目指す研究が続けられています。 (榊原智康、鈴木凜平) 磁石には電磁石と永久磁石の2種類があります。電磁石は、電流を流すことで磁力を持ち、電流の方向を切り替えるとN極とS極が入れ替わります。一方、永久磁石は、外部からのエネルギーを必要とせず長期間にわたって磁力を保ち続けます。 1本の棒状の永久磁石を真ん中で切ると、二つの磁石に分かれます。どんどん小さくしていっても同様で、原子レベルに達しても原子自体がN極とS極の磁極を持ちます。原子は原子核とマイナスの電気を持った電子からなります。「スピン」と呼ばれる電子の自転運動が、磁石の力の源になっています。 永久磁石にもいろいろな種類があり、最強のネオジム磁石は、鉄とレアアース(希土類)の一種のネオジム、ホウ素の3元素からなります。鉄とネオジムが主成分で、ホウ素は1%程度含まれています。 そもそもなぜ、ネオジム磁石は強い磁力を生み出せるのでしょうか。 磁石研究の第一人者である大同特殊鋼技術開発研究所の入山恭彦理事は「鉄原子は基本的にはいろんな方向を向きたがる性質がある」と話します。磁極の向きがばらばらだと磁力を打ち消しあってしまいますが、同じ方向にそろうほど磁力は強まります。「ネオジム原子が近くにあると、ネオジムの磁極に引っ張られて鉄の磁極の向きが固定されるため、大きな磁力が生み出される」と説明します。◆系譜
磁石の歴史は古く、紀元前にさかのぼるとされ、エーゲ海沿岸のマグネシア地方で鉄を引きつける鉱物(磁鉄鉱)が見つかったことが最初といわれています。これは自然にできたものなので天然磁石と呼ばれています。 一方、世界で初めて人工的に永久磁石が生み出されたのは1917年です。この磁石は、東北帝国大(現東北大)学長などを務めた本多光太郎博士が鉄に炭素や金属のクロムなどを混ぜてつくったもので「KS鋼」と名付けられました。本多博士は「鉄鋼の父」とも称された金属工学者で、KS鋼は計器類などに使われました。 続いて、東京高等工業学校(現東京科学大)教授を務めた加藤与五郎博士が30年、助教授だった武井武博士とともに、酸化鉄を焼き固めてつくる「フェライト...残り 1091/2181 文字
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