再エネ 導入ペースはピーク時の半分程度に
注目
再エネ 拡大のカギは新技術
専門家「再エネをフルに使う時代がやってきた」
その背景のひとつとして指摘されているのが、再生可能エネルギーによる発電設備を設置するのに適した土地が国内では限られる点です。太陽光発電では、現在、主流となっている「シリコン型太陽電池」は重みがあり、一定の広さがある平地を中心に設置されてきましたが、普及が進むにつれて適した土地は減ってきています。また風力発電では▽陸上は、安定して強い風が吹く場所が沿岸部や山間地に集中し設置に適した場所が限られるほか▽海上も現在、主流となっている風車の土台を海底に固定する「着床式」と呼ばれるタイプに適した遠浅の海域は国内では限られます。
こうした課題の解決策として期待されているのが「ペロブスカイト太陽電池」と「浮体式」洋上風力です。ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く折り曲げられるのが特徴で、建物の壁面などにも設置できます。また、主な原料のヨウ素は国内で調達できることから、サプライチェーンを海外に依存する必要がなく、経済安全保障の観点からもメリットがあると指摘されています。
一方、「浮体式」洋上風力は、風車の土台を海底に固定するのではなく、海に浮かべるタイプで、遠浅ではない海域でも設置できます。陸地から離れた海域でも設置できることから、風車を大型化し1基あたりの発電量を大きくすることもできます。政府は、浮体式洋上風力をEEZ=排他的経済水域にも設置できるようにするため、来年の通常国会に「再エネ海域利用法」の改正案の提出を予定しています。ただ、いずれの技術もまだ実証試験の段階で、性能の向上や量産技術の確立、コストの低減など実用化に向けては課題もあります。政府は資金面や人材育成などで実用化を後押ししていて、新たなエネルギー基本計画では、こうした新技術の導入目標を盛り込むことも検討しています。
エネルギー政策に詳しい国際大学の橘川武郎学長は、エネルギー基本計画の見直しの議論について「ロシアによるウクライナ侵攻で、化石燃料のコストが上昇するという問題がはっきりしたことが今回の大きな特徴だ。太陽光や風力は、ランニングコスト自体はほぼかからないため、いまこそ再生可能エネルギーをフルに使う時代がやってきた」と指摘しています。その上で、再生可能エネルギーの普及に向けては「太陽光では、メガソーラーはあまり発展の余地がないが、屋根の上はまだまだあるので、ペロブスカイトが普及した場合には伸びる可能性がある。また風力で言うと洋上風力が一番伸びしろがあると思うが、着工から発電まで8年ほどかかるのが問題で、これを短くするのがポイントだ」と述べ、ペロブスカイト太陽電池と洋上風力発電の普及がカギになるという考えを示しました。
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