旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして、聴覚障害のある名古屋市の尾上敬子さん(74)と夫の一孝さん(77)が国に損害賠償を求めた訴訟は15日、名古屋高裁(朝日貴浩裁判長)で和解が成立した。原告側弁護団によると、今回の和解で、強制不妊を巡る一連の訴訟は終結した。
和解条項は、9月に国と原告らで締結された合意書に基づいた内容。「立法当初から憲法違反」と指摘し、同法を執行していた政府の責任は極めて重大として、反省と原告への謝罪などが盛り込まれた。その上で、敬子さんに1300万円、一孝さんに200万円の慰謝料などを支払うことで和解が成立した。
和解成立後、尾上さん夫妻は記者会見。敬子さんは「謝っていただくということで安心した」と表情を緩ませた。一孝さんは「最高裁の判決以上に感動している。これ以上、言葉にできない」と手話で喜びを伝えた。
強制不妊訴訟での和解成立を受け、「全ての被害者に補償を」の紙を掲げる原告の尾上敬子さん(中央)と夫の一孝さん(左)=15日午後、名古屋市中区
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