明治大が取得したことを発表した「山の上ホテル」=東京都千代田区で(中村千春撮影)
昭和を代表する文豪に愛され、建物の老朽化で2月から休業していた「山の上ホテル」(東京都千代田区)が、耐震補強などの改修を経て、ホテルとして再開する見通しとなった。隣接する明治大が15日、同日付で土地と建物を取得、ホテルなどとして再整備する構想を明らかにした。 建物は1937(昭和12)年、明大の前身、明治法律学校卒の実業家・佐藤慶太郎の寄付を元に、困窮者の生活改善を目指す活動の本部として建設。太平洋戦争中は旧日本海軍に、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)に接収された。54年に山の上ホテルとして開業、川端康成や三島由紀夫、池波正太郎ら多くの文豪の定宿となった。 明大によると取得は創立150周年(2031年)の記念事業の一環。建物がキャンパスに近く、歴史的価値もあることから「大学の新たなシンボルに」と期待する。土地・建物を賃貸してホテル業務を委託するほか、外国人留学生らが居住する国際学生寮や、市民向けの生涯学習スペースを設けるという。 ホテルは2月以降、全館休業する一方、東京・銀座で天ぷら専門店などの営業は継続。ホテルの担当者は「休業中も水道や電気を止めず、夏場も空調を動かすなど建物の維持管理を続けてきた。再開の折には運営にぜひ関わりたいと希望している」と話している。(梅野光春)休業前の山の上ホテルの内観=東京都千代田区で(木口慎子撮影)
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