東京地裁に提訴後、記者会見する小野寺利孝弁護士(左)と広沢裕俊さん=14日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 トンネル建設工事に従事し、じん肺になったとして、元作業員と遺族が14日、工事を請け負ったゼネコンに対し、患者50人分、計約16億4千万円の損害賠償を求めて全国6地裁に一斉提訴した。元作業員らの集団提訴は2022年2月以来で、今回が第8陣。

 弁護団によると、患者数は地裁ごとに札幌9人、東京12人、新潟6人、福井8人、松山9人、熊本6人。患者1人当たり慰謝料など3300万円の賠償を求めている。被告の元請けゼネコンは大手を含め計83社に上る。

 第8陣で原告団長を務める前橋市の広沢裕俊さん(73)は、東京地裁に提訴後に都内で記者会見し、約35年間工事現場で働き、22年にじん肺の罹患が判明したと明かした。「早期解決を果たせるよう準備を進めていたが、新潟の仲間は肺がんで亡くなった。一日も早い全員和解を求めたい」と訴えた。

 これまでの集団訴訟は、全国で和解などにより終結した。弁護団の小野寺利孝弁護士は「これまで継続的に闘ってきたが、権利救済の最後の裁判にしたい」と強調した。

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