「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判で、被告人質問が始まりました。

殺人については口を閉ざしてきた元妻の口から何が語られるか注目されます。

須藤早貴被告(28)は6年前、和歌山県田辺市で元夫で資産家の野崎幸助さん(当時77歳)に覚醒剤を摂取させ殺害した罪に問われています。

ことし9月に行われた初公判で須藤被告は、「私は無罪です。私は社長を殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と無罪を主張しました。

11月8日で19回目の公判となり、これまで28人の証人が出廷しました。

殺害を示す直接的な証拠がない中、裁判の主な争点は2つです。

<争点1>野崎さんは本当に殺されたのか(事件性)

検察側は冒頭陳述で、「完全犯罪により莫大な遺産を得るため、致死量の覚醒剤を摂取させて殺害した」と指摘。

一方、弁護側は「野崎さんが自分の意思で飲んだことは完全に否定できるか」などと反論しました。

その後の証人尋問では野崎さんの会社の従業員や知人などが、野崎さんが先の予定を楽しみにしてたことや、覚醒剤を日常的に使っていた形跡がないことを証言し、自殺や事故死の可能性を否定しています。

<争点2>殺人事件だとして須藤被告は犯人なのか(犯人性)

野崎さんの遺体を解剖した医師が、午後8時~9時ぐらいに亡くなったと考えられると証言したことなどから、検察側は野崎さんが覚醒剤を摂取した時間に須藤被告と自宅で2人きりだったと指摘。須藤被告以外の犯行は考え難いとしています。

また、野崎さんが須藤被告と離婚したいと周囲にもらしていたことが証人尋問で明らかに。

検察側は須藤被告には野崎さんを殺害して遺産を手に入れる動機があったと指摘しています。

覚醒剤については売人2人が証人として出廷。1人は野崎さんが亡くなるおよそ2カ月前、田辺市で女性に覚醒剤を4グラムから5グラム売ったと証言しました。

検察は、覚醒剤の売買があった日に須藤被告と売人の通話履歴があることなどから、覚醒剤を買った女性が須藤被告であると指摘しました。

しかし、もう1人の売人は証人として出廷した際、実際に売ったのは「氷砂糖だった」と証言しています。

一方、弁護側は野崎さんが亡くなる直前には、須藤被告の方からも離婚を切り出していたと主張。

夫婦の間に何があったのか、8日から始まる被告人質問で明らかにするとしています。

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