小学生 10年前の“5倍” 中学生は“2.2倍”に増加
不登校の状況 いじめの件数は
文科省 “不登校の要因を的確に把握 きめ細かな支援必要”
専門家「学校に行かないこと “よくない” という意識に変化」
文部科学省のまとめによりますと、昨年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の状態にある子どもは、34万6482人で、前の年度と比べて4万7000人余り、率にして15%多く、11年連続で増加して過去最多となりました。
このうち、小学生が13万370人で10年前の5倍に、中学生が21万6112人で10年前の2.2倍に、それぞれ増えています。このほか高校生も3年連続で増えて6万8770人でした。
不登校の状況としては「学校生活に対してやる気が出ない」が32.2%と最も多く、次いで「不安・抑うつ」が23.1%、「生活リズムの不調」が23%などとなっています。
また、認知されたいじめの件数は、小学校が58万8930件、中学校が12万2703件、高校が1万7611件、特別支援学校が3324件のあわせて73万2568件で、前の年度よりも5万件余り増えて過去最多となりました。
いじめによる自殺や不登校などの「重大事態」と認定された件数も380件余り増えて過去最多の1306件となり、4割近くは「重大事態」と把握するまで学校側がいじめとして認知していなかったということです。
一方、自殺した児童や生徒はあわせて397人で、過去3番目に多くなっています。
不登校の子どもの増加について文部科学省は、「子どもの状況に応じた教育が必要だという保護者の意識の変化も背景にあると考えられる。不登校の要因を的確に把握し、きめ細かな支援が必要だ」とした上で、いじめについては学校側が組織的な対応ができず、重大事態になった例もあるとして、いじめの早期の発見や対応を促していきたいとしています。
不登校やいじめの問題に詳しい上越教育大学いじめ・生徒指導研究センターの高橋知己センター長は、今回の調査結果について「不登校の子どもが5万人近く増加したことは衝撃をもって受け止めている。ただ、学校に行かないことがよくないという従来の意識に変化が出ている」と指摘します。その背景として「フリースクールなどが社会的に認知されて、子どもがストレスを抱えたまま通学するよりも、自分が学びやすい場所で学ぶことが可能だということが広く認識されてきている」としたうえで、「学ぶ場が整った環境であれば、学校教育に限らなくてもいいのではないかと保護者が気づき始めている」と分析しています。さらに、コロナ禍を経て広まったオンライン授業の影響もあげた上で「学校でやるべきことは何かを考え直す時期ではないか」と話しています。その上で、高橋センター長は不登校の状態にある子どもたちの受け皿の確保や経済的支援が必要だと指摘し、「家庭の経済格差によって、子どもの選択肢が狭められないようにしなければならない。柔軟なカリキュラムが特別に認められている『学びの多様化学校』の整備を進めるとともに、民間のフリースクールに通う場合の経済的な支援などを考えていく必要がある」と話しています。
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