神戸市の指定暴力団山口組系組事務所前で2019年、組員を銃撃し重傷を負わせたとして殺人未遂などの罪に問われた山健組組長、中田浩司被告（65）の裁判員裁判で、神戸地裁（丸田顕裁判長）は31日、無罪を言い渡した。
求刑は懲役20年。判決は、防犯カメラに映っていた犯人が被告だとする検察の主張を退け、「被告の犯行と断定するには合理的な疑いが残る」と指摘した。
検察側は論告で、防犯カメラの人物と、当日の被告の服装が一致していたなどと指摘し「全ての証拠を総合的にみると犯人だと合理的に推認できる」と主張。弁護側は防犯カメラ映像は不鮮明で、被告かどうか分からないとし「目撃証言などの客観的な証拠が全くない」と反論していた。
関係者によると山健組は当時、指定暴力団神戸山口組の中核団体で、山口組と対立関係にあった。その後離脱し、21年秋に山口組に合流した。
起訴状によると19年8月、山口組の中核団体・弘道会の拠点事務所前で、軽乗用車の運転席にいた組員に拳銃を6発発射。うち5発を命中させて重傷を負わせたとしている。〔共同〕
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